スポーツ

横綱・稀勢の里が迫られる「年内全休」の決断

 現役時代に繰り返し故障に悩まされた経験を持つ玉ノ井親方(元大関・栃東)は、こんな言い方をした。

「(左の強さを武器にする)スタイルで横綱まで上がってきたわけだし、相撲を変えるといってもそう簡単ではないでしょう。一番、葛藤が深いのは本人です。これまでも苦しい時期があって、それを乗り越えてきた。自分の動きができる体に戻すしかない」

 土俵の厳しさを知る元力士だからこそ、その言葉は重い。実際、稀勢の里自身が牽引役となった結果、現在の幕内上位にはガチンコ勢がひしめいている。復帰場所では彼らが全力で向かってくる以上、中途半端な状態での出場はそれこそ力士生命にかかわってくる。

 とりわけ強敵になるのが、今場所も稀勢の里に土をつけた御嶽海を筆頭とする平成4年生まれの力士たちだ。成長著しい北勝富士(前頭2)、宇良(前頭4)はいずれも今場所、金星をあげて土俵を沸かせた。

「平成4年生まれなので、『ゼロヨン世代』と呼ばれています。大卒の彼らは、野球賭博や八百長騒動で角界が揺れた2010年以降に入門した、群れることがない伸び盛りの世代ですよ。稀勢の里は先場所も今場所も、横綱・大関のモンゴル勢とぶつかる前に、彼らに負けて途中休場に追い込まれた」(スポーツ紙デスク)

※週刊ポスト2017年8月4日号

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