通訳料金は別途必要で、半日で5万円前後、1日の場合10万円ほどになる。さらに、病院からホテルまでハイヤーでの送迎サービスを利用すると、往復10万円かかる。このため、日本人だったら30万円程度の1泊2日の人間ドックを外国人が受ける場合、通訳や送迎料金などを含めると、総額100万円ほどかかるのだ。
現在、訪日医療ツアーの多くは、中国にある富裕層向けのツアー会社が企画するケースが多いようだ。
「不動産を扱う会社が兼業しているケースもあります。不動産業者には富裕層の顧客がたくさん集まってくるので、医療ツアーの営業がしやすいのです。日本の旅行会社はなかなか太刀打ちできません」(真野氏)
そもそも、彼らはなぜわざわざ海を隔てた日本まで医療を受けるためにやってくるのか。中国市場向け経営コンサルタントの呉明憲氏は、こう語る。
「日本で受ける検診は精度が高いと評判で、『中国で見つからないがんが日本では見つかる』とも言われています。中国の大手企業のなかには幹部限定の福利厚生として、日本で人間ドックが受けられる制度を設けているところもあるほどです」
がん検診について言えば、中国にも日本と同レベルで体内を撮影できる機器はあるのだが、その画像を見てがんかどうかを診断する医師のレベルは、日本のほうが優れていると言われる。