敷地面積28ヘクタール。東京ドーム6個分の敷地に、900メートルの外周コースと直線の坂路、広々と快適な馬房が320。各厩舎にウォーキングマシンが設置され、脚元に不安のある馬のためのトレッドミルも数台あります。
特筆すべきは坂路でしょう。800メートルと栗東トレセンよりも短い距離ですが、勾配がすごい。最大で8%、高低差は39.7メートル。しかもスタートして3%から5、6、8%と徐々にキツくなっていきます。栗東トレセン坂路の最大勾配が4.5%だから、その差は明白。ここでしっかりと、そして無理なく負荷をかけて鍛えることができます。その走りっぷりをカメラが追尾し、調教管理室のモニターでフォームを管理しています。
山の気候なので夏でも風が涼しく、栗東トレセンより5度くらい気温差がありそう。馬にとってはリラックスできる環境です。
その分、最初は戸惑うかもしれません。「放牧かと思ったら、トレセンよりキツいじゃん?」という感じでしょうか。それでも快適な環境での調教は、トレセンとは違い、レースに向かう馬のピリピリとしたメンタルの悪影響を被ることがない。その点も重要です。
だから外厩で1、2か月過ごした馬は体重が増えます。筋肉がついて馬体が充実する。かつては「放牧明け」の馬はあまり走らないものでしたが、今の短期放牧の場合は事情が違うわけです。もし短期放牧明けで馬体重がそれほど増えていない場合、どこかに不調の原因があるのかもしれません。