これまで性の問題はタブーだった。でも、その人のQOL(生活の質)にかかわる大事な問題として、向き合っていく必要がある。
その人らしい生き方は、暮らしの細部に宿る。命を支えるという根幹とともに、どれだけ細部を丁寧に支えられるかが、地域包括ケアの課題であり、役割だと思う。
「わがまま」な生き方は、周囲の人の「忖度」(=想像力)と、本人の意思、自己決定によって初めて実現する。
これまでは、要介護や認知症になった時点で、ある程度、生き方が決められがちだった。でも、これからは自由に「我のまま」に生きて、死ねるような地域ができるとしたら、ぼくは年をとるのが楽しみで仕方ない。
●かまた・みのる/1948年生まれ。東京医科歯科大学医学部卒業後、長野県の諏訪中央病院に赴任。現在同名誉院長。チェルノブイリの子供たちや福島原発事故被災者たちへの医療支援などにも取り組んでいる。2017年8月23日(水)に小学館カルチャーライブ!にて講演会を開催予定(https://sho-cul.com/courses/detail/27)。
※週刊ポスト2017年8月11日号