皆は屈託のない笑顔でこう答えた。
「もちろんです! だってあの人たちはヒーローですもの」
「フィリピンにも英雄はたくさんいます。ですから、私たちも神風特攻隊という日本の英雄を大変尊敬しています」
さらに、引率の男性教師はこう語った。
「こうした歴史教育を通して、子供たちに国を守ることの大切さを知ってほしいのです」
筆者はこういった言葉に面食らった。現代の日本人からはほとんど聞けない特攻隊を英雄視する言葉が、フィリピン人の口から出るとは思わなかったからだ。
しかし、なぜ日本では国を守るために命を捧げた特攻隊を英雄として扱うことが憚られるのか。少なくとも感謝の気持ちをもつのは当たり前のことではないのか。おかしいのはフィリピンではなく、日本のほうなのだ。
※井上和彦氏・著/『撃墜王は生きている!』より