「学校で初めて和式トイレを見るという子が多いんです。だから対応できず、洋式トイレのようにおまる部分に座って用を足す子も結構います。でも、それだと床が濡れていたり、汚れていたりすると用を足せない。大便を我慢する子なども増えてきています」
一般家庭での普及とは裏腹に、学校のトイレの洋式化は意外と進んでおらず、このような現象が起こっているのだ。
この教諭によれば、菅田のように、うんこ座りの体勢がきつくてできない小学生も増えているという。子供の運動指導や運動指導者育成の活動をしている、子ども運動指導技能協会・西薗一也理事が説明する。
「いちばんの原因は足首の硬さ。足首の可動域が狭いので、前傾姿勢が苦手になっているんです。昔は家庭でも学校でも和式トイレが当たり前で、無意識にしゃがむ動作をして足首の運動をしていたんですが、洋式トイレになったことで足首を動かす機会が激減しているのです」
和式トイレが消え、足首を動かす機会が減ることは、高齢者にも影響が及ぶと西薗理事は指摘する。
「高齢者のかたで足首が硬くなると、つま先が上がらず、つまずきやすくなります。意識して、足首をぐるぐるまわし、関節の可動域を広げるようにしましょう」
和式トイレ問題は大きな社会問題なのだ。
※女性セブン2017年8月24・31日号