SUBARUとマツダが今のところ少数派ならではの存在感を出せているのは、これまで述べたように、どういうクルマが素晴らしいのかというメーカーの哲学を明確化し、ぜひとも必要という要素は顧客が求めているか否かにかかわらず、それを商品にきっちり盛り込むことで、その哲学を外に向かって発信できていることによるところが大きい。
ただ、この道は茨の道でもある。クルマの技術はコモディティ(普遍)化が急速に進むのが特徴で、何かが顧客にウケるとみるや、大手を含むライバルがすぐさまフォローしてくるのが常だ。
その意味では両社とも、ブランド力づくりにあまり長い時間はかけていられない。ライバルに似たようなコンセプトでクルマを作られる前に「この思想は○○社がオリジナル」と多くの人が認識してもらえるようにならなければいけないのだ。
緒戦は上手い戦いを展開したSUBARUとマツダだが、ここから先が真価の問われるところであろう。
■取材・文/井元康一郎(自動車ジャーナリスト) ※写真提供も