ライフ

蚊、ヒアリ、マダニ、毒ヘビ、アカエイ…危険生物対処法

毒ヘビ、ヒアリ、マダニほか危険静物の対処法(写真/アフロ)

 夏になると、子供から「外で遊びたい」「昆虫採集がしたい」とせがまれることも増えるだろう。しかし、外には今話題のヒアリや毒蛇を始め、たくさんの危険生物が。どんな対策をとったらいいのだろうか?

「闇雲に怖がるだけだと、自然の中での状況判断ができなくなってむしろ危険。正しい知識や情報を得て対処することが重要」と語るのは元東京消防庁の大隊長・救急救命士の安岡裕二さん(62才)だ。

「まず、知っておかなければならないのが危険生物の生態。生物がどこに生息し、行動は昼か夜行性か。人間にどんな害を与えるのか。毒を持っているかいないかなど、それらの知識を得て、予防や応急手当を考えましょう」

 スズメバチやヒアリなど、毒を持つ生物に刺されたり咬まれたりした場合は、早急に毒を体内から絞り出すなど適切な応急手当を施し、すぐに専門医に見せるのが基本。

「原因となった生物の死骸を捕獲し医療機関に持参することも大切」と安岡さんは言う。

「傷口から有害物質・成分を検査することは困難。原因と思われる生物を直接検査することで正確な診断ができ、有効な治療ができるのです」

 それでは、6種類の危険生物の生態と対処法について紹介しよう。

【マダニ】
 山中や雑木林、草むらなどに生息。葉の裏にいることが多く、5月中旬から夏場に遭遇しやすい。長袖長ズボンを着用するなどなるべく肌を露出しない。服の上から防虫スプレーをかける。対処法としては、肌に付いたマダニを無理に取ったりつぶしたりしない。無理に取るとマダニの歯が皮膚内に残り感染率を高める。マダニの付いた状態で病院に行くのがベスト。マダニが皮膚から離れた場合は捕獲し専門医に見せると治療が有効に。

【蚊】
 吸血によって各種病気を媒介。日本で発症するデング熱は主にヒトスジシマカによるもの。日本脳炎はコガタアカイエカが媒介する。対策としては、肌を露出しないことがまずひとつ。衣服の上から防虫スプレーをかける。蚊は体から発散する熱やにおいに寄ってくるので肌を清潔に保ち体臭を発散させない。刺された所を洗浄し塗り薬をつける。腫れた場合は患部を冷やす。刺されて数日後に発熱、頭痛、全身の筋肉疲労などがあれば病院へ。

【スズメバチ】
 巣や縄張りへの強い防衛行動を持ち、巣から10m以内に近づくと警戒行動をとる。攻撃性が高く、刺傷での死亡率は他の有毒生物の中で最も高い。

 だから、ハチの巣に近づいてはならない。動きに反応するので、もし巣を見つけたら、静かに後ずさりをして巣から離れる。手で振り払わない。もしも刺された場合は、早急に毒を体内から絞り出す。過去に同種のハチに刺されている場合は急激なアレルギー反応を起こすこともあるので即刻に医療機関へ。

【ヒアリ】
 今年5月に日本で発見されて以来、急速に分布を拡大させている特定外来生物。刺されると「軽度/痛み、かゆみ」「中度/蕁麻疹」「重度/数分から数十分で息苦しさ、声のかすれ、めまい、激しい動悸」(アナフィラキシーで死亡することも)。

 対策は、近づかない、触らない、肌を露出しないの3原則。刺された場合は、20~30分程度安静にし、重度の症状が見られたら救急車を要請。あらかじめ作っておいたメディカルカードを隊員に渡す。

【アカエイ】
 浅い海の砂泥底に生息し、海水浴や潮干狩りなどで遭遇確率が高い。尾に毒があり刺されると激しい痛みに襲われる。近年、子供の被害報告が増加傾向にある危険生物の1つ。浅瀬の砂場では、なるべく「すり足」で歩き、アカエイを踏んでしまうのを避ける。刺されたら患部を水か40℃ぐらいのお湯で洗浄。アレルギー体質の人はアナフィラキシーショックになる恐れもあるので、早急に病院へ。

【毒ヘビ】
 日本本土に生息する主な毒ヘビは、平地や田畑、庭などにいる「マムシ」と、水田や河川など水場近くの草むらに多い「ヤマカガシ」。基本億病なのでヘビから襲ってくるケースはまれ。人間が攻撃したり踏んだりした場合に咬まれる。だから、自らヘビに近づかない、触らないを心がけよう。

 咬まれたら急いで救急車を呼び、待っている間、吸引器で毒を吸い出すか、水で流しながら血を絞り出すなど応急処置を施す。

※女性セブン2017年8月24・31日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

俳優の水上恒司が真剣交際していることがわかった
水上恒司(26)『中学聖日記』から7年…マギー似美女と“庶民派スーパーデート” 取材に「はい、お付き合いしてます」とコメント
NEWSポストセブン
ラオスに滞在中の天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月18日、撮影/横田紋子)
《ラオスの民族衣装も》愛子さま、動きやすいパンツスタイルでご視察 現地に寄り添うお気持ちあふれるコーデ
NEWSポストセブン
AIの技術で遭遇リスクを可視化する「クマ遭遇AI予測マップ」
AIを活用し遭遇リスクを可視化した「クマ遭遇AI予測マップ」から見えてくるもの 遭遇確率が高いのは「山と川に挟まれた住宅周辺」、“過疎化”も重要なキーワードに
週刊ポスト
韓国のガールズグループ「AFTERSCHOOL」の元メンバーで女優のNANA(Instagramより)
《ほっそりボディに浮き出た「腹筋」に再注目》韓国アイドル・NANA、自宅に侵入した強盗犯の男を“返り討ち”に…男が病院に搬送  
NEWSポストセブン
ラオスに到着された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月17日、撮影/横田紋子)
《初の外国公式訪問》愛子さま、母・雅子さまの“定番”デザインでラオスに到着 ペールブルーのセットアップに白の縁取りでメリハリのある上品な装い
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(AFLO/時事通信フォト)
「“穴持たず”を見つけたら、ためらわずに撃て」猟師の間で言われている「冬眠しない熊」との対峙方法《戦前の日本で発生した恐怖のヒグマ事件》
NEWSポストセブン
ドジャース入団時、真美子さんのために“結んだ特別な契約”
《スイートルームで愛娘と…》なぜ真美子さんは夫人会メンバーと一緒に観戦しないの? 大谷翔平がドジャース入団時に結んでいた“特別な契約”
NEWSポストセブン
山上徹也被告の公判に妹が出廷
「お兄ちゃんが守ってやる」山上徹也被告が“信頼する妹”に送っていたメールの内容…兄妹間で共有していた“家庭への怒り”【妹は今日出廷】
NEWSポストセブン
靖国神社の春と秋の例大祭、8月15日の終戦の日にはほぼ欠かさず参拝してきた高市早苗・首相(時事通信フォト)
高市早苗・首相「靖国神社電撃参拝プラン」が浮上、“Xデー”は安倍元首相が12年前の在任中に参拝した12月26日か 外交的にも政治日程上も制約が少なくなるタイミング
週刊ポスト
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
《季節感あふれるアレンジ術》雅子さまの“秋の装い”、トレンドと歴史が組み合わさったブラウンコーデがすごい理由「スカーフ1枚で見違えるスタイル」【専門家が解説】
NEWSポストセブン
俳優の仲代達矢さん
【追悼】仲代達矢さんが明かしていた“最大のライバル”の存在 「人の10倍努力」して演劇に人生を捧げた名優の肉声
週刊ポスト
オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト