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中国の貧しさ知らない「富二代」 ネットゲームにハマり横領

事件にはことかかない(写真:アフロ)

 やはり金銭感覚は、人生を左右する数々の要素の中でも最も重要なものの一つなのかもしれない。中国の情勢に詳しい拓殖大学海外事情研究所教授の富坂聰氏がレポートする。

 * * *
 高速発展を遂げた中国人が、訪れた各国で“爆買い”する時代である。中国全体を見渡せば、まだまだ貧しい人々も多く、共産党政権が自らを「発展途上国」と呼ぶのも理解できるが、いまや世界の多くの国の人々にとって「中国人」は富裕層のイメージと重なる。その中国では、いま富を蓄積した金持ちの両親で育った子供たちが次々に大人になってきている。

 彼らのことを「富二代」と呼び、一つの社会現象としてとらえられ始めたのは、北京オリンピックの行われた2008年前後だったと記憶しているが、現在はさらに進んで「90后(後)」の「富二代」が登場しているという。

 90年代になって以後に生まれた世代を指して使われる「90後」は、みな物心がついたころには中国が高速発展の時代に入っていて「貧しい中国を知らない」世代ともいわれる。

 そんな「90後」がいま、成功した両親から事業を引き継ぐケースが多くなり、世代間のギャップによりさまざまなトラブルが引き押され、やはり一つの社会現象になってきているという。

 そうした中国の今を代表するような事件として報じられたのが、6月6日付『正義ネット』の記事である。タイトルは、〈90年以降生まれの男が家業を引き継いだが、そのとたん2200万元(約3億6300万円)を使い込む 使い道はネットゲーム〉である。

 苦労も知らずに育った二世・三世が会社経営を任された途端に浪費をはじめ、家業を潰してしまうという話は決して珍しくはない。だが、その使い道がネットゲームというのが中国の「いま」を象徴していると受け止められたのだろう。

 問題の人物はまだ30歳に満たない黄という青年だ。大学を卒業したのが2013年。そのまま父親の経営する建築会社に就職し、月給は約2500元(約4万1250円)だった。当然、彼の支出を賄える額ではない。そして悪いことに彼が配属されたのは経理だった。黄はたちまち会社の金に手を出したというストーリーだ。

 しかし、こんな内輪の問題がなぜ全国ニュースになったのか。実は黄は、地元の福建省平潭の検察院に横領の罪で告発されてしまったという。

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