第4位の岡田茉莉子も、代表的な“高嶺の花”女優のひとりだ。2011年の特集上映期間中に行なった自伝本のサイン会の様子を、佐藤氏が振り返る。
「サインをお求めになったお客様は皆さん揃って、銀幕スターを眼前にして緊張されていたのか、岡田さんのオーラに驚かれたのか、言葉少なでした。それほど実物の岡田さんは神々しかったです。“降臨”という言葉が相応しかったですね」
文芸映画路線が特色の劇場とあって、女優特集5位の山田五十鈴、6位の杉村春子、7位の飯田蝶子ら、生涯を演技に捧げた実力派女優の人気も高い。山田の特集上映には、名前は明かせないが現役の人気女優もお忍びで通っていたという。
続く8位は、佐藤氏が「女の情念を演じたら天下一品」と絶賛する太地喜和子。9位タイで斉藤由貴、若尾文子がベスト10に入った。
神保町シアターはスタッフと客の距離感が近く、リクエスト箱を置いて観客の要望を受け付けている。実は芦川ブームに火を付けた特集は、芦川好きの常連客との会話がきっかけで生まれた企画。スクリーンで観たい女優や作品などがあれば、希望を伝えてみてはいかがだろうか。
※週刊ポスト2017年8月18・25日号