ビジネス

カジノ解禁で海外企業が名乗り ラスベガスの五つ星ホテルも

存在感のあるカジノホテル「ウィン・ラスベガス」

 カジノ解禁に向けた動きが活発化している。政府はカジノの入場回数を制限するなど運営規則を盛り込んだ有識者の報告書をもとに、秋の臨時国会に実施法案を提出する予定だ。

「日本版カジノ」をめぐっては、ギャンブル依存症対策を含め、運営する事業者の選定も焦点となるが、国内のみならず海外企業も虎視眈眈と参入を狙っているという。ホテル評論家の瀧澤信秋氏が最新動向をレポートする。

 * * *
 IR(統合型リゾート)が注目されている。IRとは、カジノをはじめ、ホテルや国際会議場、レストラン、リラクゼーション、アトラクションなど多様な施設が集まった巨大リゾートだが、カジノ施設があることが前提となる。

 現在公営ギャンブルを例外として、国内で賭博・ギャンブルは禁止されているが、2016年末にはIR推進法案が成立、今年度末のIR実施法案成立が見込まれている。

 IRは公営ギャンブルとは異なり、国や自治体の直接運営ではなく免許を発行する「民活」となり、実施法案の成立後、自治体や事業者が選定され開発がスタートする。会議場、劇場、国内旅行案内、ホテルの4機能を施設に併設することが選考の条件とされる。

 早くても2023年以降の開業といわれているが、本年度から来年にかけ自治体や事業者の選定がすすめられることになり、誘致・参入の動きが水面下で活発になっている。準備しているとされる自治体は約10といわれているが、当初選定されるのは2~3程度の見込み。

 そのような中、目下有力候補とされているのが大阪だ。USJや天保山をロケーションとする大阪湾岸の人工島「夢洲(ゆめしま)」がその舞台で、大阪府・市をはじめ経済同友会など一丸となり開発がすすめられている。夢洲は大阪万博の誘致候補地でもある。

 大阪誘致を見据えた事業者の動きも活発だ。カジノの本場、ラスベガスの「ウィン・リゾーツ」も参入に名乗りを上げている。ウィン・リゾーツはラスベガスをはじめ、マカオなどでリゾートを展開。日本での知名度は低いが、敷地30万坪(東京ドーム20個分)客室数4750を擁する規模は世界の五つ星ホテルの中では第1位とホテル業界では有名な企業。

 IRとホテルは切り離せない存在であり、高いホスピタリティを提供する五つ星ホテルはIRに必須である。ラスベガスIRのフロントランナーとして躍進してきた企業として知られているウィン・リゾーツだが、特にラグジュアリーホテル運営には定評があり“ホテルパーソンの桃源郷”ともいわれる運営企業だ。

 同社のチーフ・マーケティング・オフィサーであるマイケル・ウィーバー氏は、

「現代のIRにおいて重要なのはゲーミング部門よりもノンゲーミング部門。経済効果はもちろんだが、当社のホテルに代表されるような高いホスピタリティマインドで、カジノに限らず最高レベルのエンターテインメントを我々は日本版IRへ提供できる」

 と自信をのぞかせる。

関連キーワード

関連記事

トピックス

今季から選手活動を休止することを発表したカーリング女子の本橋麻里(Xより)
《日本が変わってきてますね》ロコ・ソラーレ本橋麻里氏がSNSで参院選投票を促す理由 講演する機会が増えて…支持政党を「推し」と呼ぶ若者にも見解
NEWSポストセブン
白石隆浩死刑囚
《女性を家に連れ込むのが得意》座間9人殺害・白石死刑囚が明かしていた「金を奪って強引な性行為をしてから殺害」のスリル…あまりにも身勝手な主張【死刑執行】
NEWSポストセブン
失言後に記者会見を開いた自民党の鶴保庸介氏(時事通信フォト)
「運のいいことに…」「卒業証書チラ見せ」…失言や騒動で謝罪した政治家たちの実例に学ぶ“やっちゃいけない謝り方”
NEWSポストセブン
球種構成に明らかな変化が(時事通信フォト)
大谷翔平の前半戦の投球「直球が6割超」で見えた“最強の進化”、しかしメジャーでは“フォーシームが決め球”の選手はおらず、組み立てを試行錯誤している段階か
週刊ポスト
参議院選挙に向けてある動きが起こっている(時事通信フォト)
《“参政党ブーム”で割れる歌舞伎町》「俺は彼らに賭けますよ」(ホスト)vs.「トー横の希望と参政党は真逆の存在」(トー横キッズ)取材で見えた若者のリアルな政治意識とは
NEWSポストセブン
ベビーシッターに加えてチャイルドマインダーの資格も取得(横澤夏子公式インスタグラムより)
芸人・横澤夏子の「婚活」で学んだ“ママの人間関係構築術”「スーパー&パークを話のタネに」「LINE IDは減るもんじゃない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン