◆あいまいな「宣戦布告」

 北朝鮮が事前に「宣戦布告」した後の攻撃なら別だが、北朝鮮は米国を非難する際に「宣戦布告」という表現をこれまで乱発してきたため、本当の「宣戦布告」なのか北朝鮮側に確認する必要がある。

 もちろん、複数の弾道ミサイルが日本列島に着弾した場合は、事実上の「宣戦布告」となる。しかし、1発だった場合は「発射実験の失敗」の可能性を排除することが出来ないため、本当の攻撃なのかどうかを確認するという滑稽な形を取ることになる。

 戦争は、ある日突然起きるわけではない。対話が行き詰まるなど何らかの前兆がある。現在の北朝鮮情勢の緊迫度は、米朝関係の歴史を振り返るとそれほど高いものではない。しかし、複数の弾道ミサイルが日本に着弾するという事態になってしまった場合、米軍はどのように動くのだろうか。

 米国に対して「宣戦布告」が明確に行われれば、米軍は北朝鮮攻撃へと動くだろうが、北朝鮮は「宣戦布告」する前に大規模な奇襲攻撃を仕掛けるだろう。

 とはいえ、弾道ミサイルで奇襲を仕掛けるにしても、1990年代に製造された日本を攻撃する「ノドン」や、もっと前に製造された韓国を攻撃する「スカッド」は老朽化をはじめており、正常に飛ぶのかどうかも怪しい。

 最新の弾道ミサイル以外は老朽化した兵器しか持たない北朝鮮軍には、いまも昔も大規模な奇襲攻撃しか勝ち目がない。あとは特殊部隊を用いた破壊工作に頼るほかない。

 北朝鮮は、米国本土まで届くICBMを配備したとしても、米国、日本、韓国に戦争を仕掛けることはないと筆者は考えている。戦争を行なうとなれば、少なくとも在日米軍と在韓米軍の北朝鮮に対する攻撃手段を短時間で全て破壊するだけでなく、グアムや米国本土の航空基地も破壊しなければならないからだ。

 北朝鮮の弾道ミサイル発射と核実験はセットで行われる傾向があるため、6回目の核実験もまもなく行われるだろうが、日本が行えることは「断固たる抗議」と効果が疑問な経済制裁しかない。

 このような事を繰り返しているうちに、今回のように日本列島を弾道ミサイルが飛び越えるという事態になってしまった。敵基地攻撃能力の保有に本格的に着手すれば、野党などから猛反発を受けるだろうが、そろそろ実効性のある対応策を検討すべきではなかろうか。

関連キーワード

関連記事

トピックス

『ザ!鉄腕!DASH!!』降板が決まったTOKIOの国分太一(右/番組の公式サイトより)
《TOKIO・国分太一が無期限活動休止》「演者とスタッフは“独特の距離感”だった」関係者が明かす『鉄腕DASH』現場の“特殊な事情”
NEWSポストセブン
”アナウンサーらしくないアナウンサー“と評判
「笑顔でピッタリ腕を絡ませて…」元NMB48アイドルアナ・瀧山あかねと「BreakingDown」エース・細川一颯の“腕組み同棲愛”《直撃に「まさしくタイプです(笑)」》
NEWSポストセブン
『ザ!鉄腕!DASH!!』降板が決まったTOKIOの国分太一(右/番組の公式サイトより)
《スタッフに写真おねだりか》TOKIO・国分太一は「コンプライアンス上の問題行為が複数あった」…日本テレビに問い合わせた結果
NEWSポストセブン
TOKIOの国分太一
《日テレで緊急会見の意味は》TOKIO国分太一がコンプラ違反で活動休止へ 「番組降板」「副社長自らスキャンダル」の衝撃
NEWSポストセブン
悠仁さまの大学進学で複雑な心境の紀子さま(撮影/JMPA)
悠仁さま、今年秋の園遊会に“最速デビュー”の可能性 紀子さまの「露出を増やしたい」との思いも影響か
女性セブン
グラビアのオファーも多いと言われる中川安奈アナ(本人のインスタグラムより)
《SNSで“インナーちらり笑”》元NHK中川安奈アナが森香澄の強力ライバルに あざとキャラと確かなアナウンス技術で「ポテンシャルは森香澄以上」との指摘
週刊ポスト
不倫が報じられた錦織圭、妻の観月あこ(Instagramより)
《錦織圭・モデル女性と不倫疑惑報道》反対を押し切って結婚した妻・観月あことの“最近の関係” 錦織は「産んでくれたお母さんに優しく接することを心がけましょう」発言も
NEWSポストセブン
お疲れのご様子の雅子さま(2025年、沖縄県那覇市。撮影/JMPA) 
雅子さまにささやかれる体調不安、沖縄訪問時にもお疲れの様子 愛子さまが“異変”を察知し、とっさに助け舟を出される場面も
女性セブン
不倫が報じられた錦織圭(AFP時事)
《美女モデルと不倫》妻・観月あこに「ブラックカード」を渡していた錦織圭が見せた“倹約不倫デート”「3000円のユニクロスウェットを着て駅前チェーン喫茶店で逢瀬」
NEWSポストセブン
永野芽郁のマネージャーが電撃退社していた
《永野芽郁に新展開》二人三脚の“イケメンマネージャー”が不倫疑惑騒動のなかで退所していた…ショックの永野は「海外でリフレッシュ」も“犯人探し”に着手
NEWSポストセブン
“親友”との断絶が報じられた浅田真央(2019年)
《村上佳菜子と“断絶”報道》「親友といえど“損切り”した」と関係者…浅田真央がアイスショー『BEYOND』にかけた“熱い思い”と“過酷な舞台裏”
NEWSポストセブン
不倫が報じられた錦織圭、妻の元モデル・観月あこ(時事通信フォト/Instagramより)
《結婚写真を残しながら》錦織圭の不倫報道、猛反対された元モデル妻「観月あこ」との“苦難の6年交際”
NEWSポストセブン