強気なメイクに、パッツンと切りそろえられた自己主張の強い黒髪のボブスタイル。ブスなのか可愛いのか、イマイチ判断がつかない容姿に、コロコロした体型。ネタでは、バブルの時に流行したようなピチピチタイトのミニスカートで、緩いステップを踏む。キャリアウーマンという響きからくるイメージとは正反対で、ギャップが大きい。一昔前のいい女ぶってる勘違い女にしか見えず、この女がそれを言うか?という感じが笑いを誘う。

 また、彼女のネタには、振り向くシーンが効果的に使われている。見ている人はブルゾンさんが後ろを向くことで、次に何が起こるのか、どんな笑いがくるのかを無意識に期待して、目を離せなくなる。そこで彼女は、後ろを向くだけでなく、数歩、歩いて間をあける。見ているこちらは、注目したままワクワク感が盛り上げる。

 そして、おもむろに振り向く。振り返ることで、表情が強調され、前を向き続けてネタを披露するより、見ている人により大きなインパクトを与えることができる。笑いのツボやタイミングもわかりやすくなり、ネタのキレや面白さが倍増する。切れ長のアイメイクも、振り向きざまの流し目を強調して、見ている人の関心をさらに引き付ける。

 ネタと動きを併せてみると、腰に手を当てて肘を張り、自分が上だと見せつける。横に立つwith Bの2人との絡みでは、「主導権は私にある」という女王様キャラのような動きや仕草を見せる。でも「男はチューインガム」、世界に男は「35億」と言いながらも、その仕草はセリフとは裏腹。自分を魅力的に見せようと必死な感じなのだ。

 小首を傾げて可愛く見せたり、頭を振って髪をなびかせ、髪を何度もかきあげる。媚びたようにしなを作ったと思ったら、腰を振って歩いたりと、「待っていれば男は来るもの」と言いながら、その仕草は実に思わせぶり。ゆっくり腰や身体を動かすことでセクシーさを表現し、自分で首筋やウェストを触っては女っぷりをアピール。だけど、内またに立ったり、足を投げ出すように歩いたりと足先にまで気が回らずに、頑張ってる感が漂ってしまう。

「自然と男は寄ってくる」というスタンスと、彼女のボディランゲージが表している誘惑したい、もてたい願望とのギャップが際立ち、面白い。彼女がウケる理由の1つはギャップの面白さだろう。最初に持ったイメージや印象とのギャップが大きいと、それだけ相手により大きなインパクトを与え、印象を変えることができるといわれる。心理学ではこれをゲイン・ロス効果(アロンソンとリンダー)という。

 普通に話す時はすごく真面目で知的だし、雑誌の企画では見事な着こなしを披露している。ドラマでは女子力を高めようと頑張る理系女子を熱演したりと、今までとは違う姿を見せる彼女には、ゲイン・ロス効果が高い

 CMにドラマにと、芸の幅を広げているブルゾンさん。次はどんなギャップを見せてくれるのか、楽しみだ。

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