決勝戦では、その「離島の交流」を強く印象づける光景が広がっていた。敗退したチームが束になって、自分たちを破ったチームの応援をしているのだ。応援歌を歌ったり、それぞれの島の踊りで応援したり。そこにはチームを超えた一体感があった。
「試合をするのはハンデのある離島同士。お互いに言い訳はできない。だからそこには“本気”の真剣勝負が、そして感動が生まれます。その経験があれば、成長して本土や本島に出て行った時に必ず役に立つ。そして野球を通して、人間としての礼儀がきちんとした若者に育ってもらえればと思っています」(村田氏)
大会終了後には、村田氏の意思に賛同する元プロ野球選手たちが加わって野球教室が開催された。村田氏は大きな声で檄を飛ばし、67歳とは思えない熱血指導。最後まで離島の子供たちと“本気”で向き合っていた。
■取材・文/鵜飼克郎 ■撮影/藤岡雅樹
※週刊ポスト2017年9月15日号