雑誌のライターをしている細谷進は竹柴に頼まれて、タンジェへ同行することになる。ドバイ経由で、モロッコのカサブランカに到着すると、アフリカ大陸の真青な空。列車でタンジェへ行く。
町は喧騒に飲みこまれ、肉の焼けるニオイ、油のニオイ、香辛料、体臭、地面のニオイ、それらが鼻の穴の中で交差する。酒はホテルのバーか秘密クラブでしか飲むことができない。詐欺師が話しかけてくる。車道の端には工事現場から飛んできた砂が溜まる。
ハファの写真を持って、店を尋ね歩く。どこでもふるまわれる甘いミントティー。ゼンマイをジリジリと巻く。さて、竹柴は、いとしい恋人ハファと会うことができるか。衝撃の結末へむかって、旅がつづく。
※週刊ポスト2017年9月15日号