国際情報

中国 21歳の泥棒が忍び込んだ家のベッドで熟睡した理由

ベッドの温もりは大切

 犯罪と国民性は切っても切れない関係性がある。となれば、この事件には考えさせられる部分が少なくない。中国の情勢に詳しい拓殖大学海外事情研究所教授の富坂聰氏が指摘する。

 * * *
 中国における「格差」は拡大の一途だ。ある意味それを象徴するひとつの事件を紹介しよう──。湖北省韓垸村の村民からの通報を受けた武穴田鎮派出所の警官たちは、駆け付けた先の部屋のベットで大胆にも眠り込む空き巣と遭遇した。6月7日夜9時過ぎのことである。地元『楚天都市報』(6月11日付)が伝え、全国に広がったニュースは大きな話題となった。

 記事のタイトルは、〈空き巣に入った先のベッドで熟睡 俺は疲れすぎた〉だった。

 かつての日本でも説教強盗など、ユニークなケースはあったが、警官が駆けつけてもなお眠り続けた泥棒というケースは聞いたことがない。

 21歳のこの空き巣男、事情を訊ねる警官に対し「すっかり疲れてしまって……」とタイトル通りの告白をしたというのだが、そうなると気になるのが、なぜそれほどまでに疲れてしまっていたのか、ということだろう。北京の夕刊紙記者が語る。

「朱と名乗ったその男は、湖北省島南部の蘄春県出身で、今年の春節(旧正月)に家族と大喧嘩して家出をしていたということです。6月に捕まるまで約4か月間、ずっと空き巣を繰り返していたのでしょう。すっかり疲れたというのは、彼が本物の空き巣ではなかったということです。彼は侵入当初、金目の物を物色したのですが、現金もなければ他にめぼしいものもなかったといいます。

 それで、ガッカリした瞬間に、自分がとても飢えていて、また疲れていることを感じたといいます。結局、盗みに入った家で、彼が現金の次に欲しかった温かいベッドに横たわったら止まらなくなったということでした」

 朱は、家出をした時と同じ上下の衣服を身につけていたというから、空き巣はあまりうまくいかなかったのだろう。

関連キーワード

関連記事

トピックス

新恋人のA氏と腕を組み歩く姿
《そういう男性が集まりやすいのか…》安達祐実と新恋人・NHK敏腕Pの手つなぎアツアツデートに見えた「Tシャツがつなぐ元夫との奇妙な縁」
週刊ポスト
女優・八千草薫さんの自宅が取り壊されていることがわかった
《女優・八千草薫の取り壊された3億円豪邸の今》「亡き夫との庭を遺してほしい」医者から余命宣告に死の直前まで奔走した土地の現状
NEWSポストセブン
あとは「ワールドシリーズMVP」(写真/EPA=時事)
大谷翔平、残された唯一の勲章「WシリーズMVP」に立ちはだかるブルージェイズの主砲ゲレーロJr. シュナイダー監督の「申告敬遠」も“意外な難敵”に
週刊ポスト
左から六代目山口組・司忍組長、六代目山口組・高山清司相談役/時事通信フォト、共同通信社)
「六代目山口組で敵う人はいない」司忍組長以上とも言われる高山清司相談役の“権力” 私生活は「100坪豪邸で動画配信サービス視聴」も
NEWSポストセブン
35万人以上のフォロワーを誇る人気インフルエンサーだった(本人インスタグラムより)
《クリスマスにマリファナキットを配布》フォロワー35万ビキニ美女インフルエンサー(23)は麻薬密売の「首謀者」だった、逃亡の末に友人宅で逮捕
NEWSポストセブン
クマ被害で亡くなった笹崎勝巳さん(左/バトル・ニュース提供、右/時事通信フォト)
《激しい損傷》「50メートルくらい遺体を引きずって……」岩手県北上市・温泉旅館の従業員がクマ被害で死亡、猟友会が語る“緊迫の現場”
NEWSポストセブン
財務官僚出身の積極財政派として知られる片山さつき氏(時事通信フォト)
《増税派のラスボスを外し…》積極財政を掲げる高市早苗首相が財務省へ放った「三本の矢」 財務大臣として送り込まれた片山さつき氏は“刺客”
週刊ポスト
WSで遠征観戦を“解禁”した真美子さん
《真美子さんが“遠出解禁”で大ブーイングのトロントへ》大谷翔平が球場で大切にする「リラックスできるルーティン」…アウェーでも愛娘を託せる“絶対的味方”の存在
NEWSポストセブン
ベラルーシ出身で20代のフリーモデル 、ベラ・クラフツォワさんが詐欺グループに拉致され殺害される事件が起きた(Instagramより)
「モデル契約と騙され、臓器を切り取られ…」「遺体に巨額の身代金を要求」タイ渡航のベラルーシ20代女性殺害、偽オファーで巨大詐欺グループの“奴隷”に
NEWSポストセブン
イギリス出身のボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
《ビザ取り消し騒動も》イギリス出身の金髪美女インフルエンサー(26)が次に狙うオーストラリアでの“最もクレイジーな乱倫パーティー”
NEWSポストセブン
女優の趣里とBE:FIRSTのメンバーRYOKI(右/インスタグラムより)
《趣里が待つ自宅に帰れない…》三山凌輝が「ネトフリ」出演で超大物らと長期ロケ「なぜこんなにいい役を?」の声も温かい眼差しで見守る水谷豊
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 維新まで取り込む財務省の巧妙な「高市潰し」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 維新まで取り込む財務省の巧妙な「高市潰し」ほか
NEWSポストセブン