資生堂の『化粧療法』の源流は、戦後まもなく始められた『整容講座』にある。
「1949年、卒業前の女子学生を対象に、スキンケアやメイクで身だしなみを整えることの大切さを説いて回りました。そんな弊社の取り組みを見て、1975年に岩手県の特別養護老人ホームから講座の依頼がありました。要介護者の生活にも身だしなみが大切だと気づいた介護職のかたがたは、当時ではとても先進的だったと思います。
それを皮切りに介護施設や病院などへの美容教室が広がり、多くの弊社社員が全国を奔走。経験と研究を生かしたのが『化粧療法』です」
2013年からは全国の介護施設で『化粧療法』を行う『いきいき美容教室』や、介護職向けに化粧療法を伝授する講座も開講しているが、ここ数年、一般からの問い合わせが増えてきたという。
「自分の親のために覚えたいという人からの参加希望が相次ぎ、時代のニーズを感じましたね。そこで昨年4月から一般の人も受けやすい講座も開講。顔のマッサージをしながら唾液腺を刺激する『スキンケアを通じた口腔ケア講座』など4講座。化粧がよりよい介護の助けになればと思います」
※女性セブン2017年9月21日号