ビジネス

セブンまで参入の自販機コンビニ 隙間市場埋める究極の戦い

先行するファミリーマートの自販機(写真:時事通信フォト)

 全国に6万店近く点在し、飽和状態といわれて久しいコンビニ。近年はパートやアルバイト従業員の人手不足に悩むフランチャイズオーナーも続出しているが、いま省力化の切り札として大手チェーンが注力しているのが、「自動販売機コンビニ」の設置だ。

 自販機コンビニの先駆けは、ファミリーマート(以下、ファミマ)が手掛ける自販機型無人コンビニの「ASD(オートマチック・スーパー・デリス)」である。

「もともとファミマの自販機事業は吸収合併したam-pmが10年以上前に始めたもの。am-pmは都心部に多くの店舗を構えていたため、高騰しそうな家賃や人件費の削減策として考えられた。

 自販機では飲料だけでなくスナック菓子やパンなども揃え、設置する場所や消費者ニーズを探りながら、じわじわと台数を伸ばしてきた」(経済誌記者)

 現在、ファミマの自販機はオフィスや官公庁などを中心に約2000台が普及し、最大60アイテムまで詰め込める自販機では、乳飲料などのチルド飲料やスイーツ、サラダやパスタ、弁当類の品揃えまで可能だ。ファミマは2019年2月末までにさらに1000台を新設すると意気込む。

 そんなファミマ陣営に遅ればせながら、9月19日、自販機ビジネスのテスト設置を始めると発表したのが、コンビニ首位のセブン-イレブンだ。

 ファミマを凌ぐ最大75アイテムまで販売できる「セブン自販機」では、おにぎりやサンドイッチ、パンなどのオリジナル商品を中心に品揃えする予定だという。まずは今年度中に100台の設置を見込む。

 ここにきて各チェーンが自販機ビジネスを拡大させているのは、もちろん人手不足解消の目的も大きいが、「さらなるコンビニ需要の掘り起こしを狙っている」と指摘するのは、『コンビニエンスストア速報』編集長の清水俊照氏である。

「自販機コンビニの展開は一言でいうと“隙間マーケット”の争奪戦です。すでに路面店の出店競争が飽和状態になる中、さらにコンビニでの買い物需要を掴むためには、特定のオフィスビルや工場、ホテル、学校などに進出していく必要があります。

 例えば、新しいオフィスビルやホテルにはすでにコンビニが入っているところも多いと思いますが、上層階にいるオフィスワーカーや宿泊者は、1階のコンビニに行くことさえ面倒だと言う人もいますし、昼時はレジが混雑するので入店を諦める人も多い。そこでフロア毎にコンビニ自販機を設置すれば、こうした販売機会のロスを補うこともできます。

 広大な工場もまだまだ需要はあります。深夜も作業員のニーズがあるにもかかわらず、24時間店舗を新設するには客数が限られているので出店しにくい。そこで運営・管理コストが少なくて済む自販機はうってつけといえます」(清水氏)

関連記事

トピックス

寄り添って歩く小室さん夫妻(2025年5月)
《木漏れ日のなかベビーカーを押す海外生活》眞子さん、苦渋の決断の背景に“寂しい思いをしている”小室圭さん母・佳代さんの親心
NEWSポストセブン
原付で日本一周に挑戦した勝村悠里さん
《横浜国立大学卒の24歳女子が原付で日本一周に挑戦》「今夜泊めてもらえませんか?」PR交渉で移動…新卒入社→わずか1年で退職して“SNS配信旅”を決意
NEWSポストセブン
米インフルエンサー兼ラッパーのリル・テイ(Xより)
金髪ベビーフェイスの米インフルエンサー(18)が“一糸まとわぬ姿”公開で3時間で約1億5000万円の収益〈9時から5時まで働く女性は敗北者〉〈リルは金持ち、お前は泣き虫〉
NEWSポストセブン
「第42回全国高校生の手話によるスピーチコンテスト」に出席された佳子さま(時事通信フォト)
《ヘビロテする赤ワンピ》佳子さまファッションに「国産メーカーの売り上げに貢献しています」専門家が指摘
NEWSポストセブン
サントリー新浪剛史会長が辞任したことを発表した(時事通信フォト)
《総スカン》違法薬物疑惑で新浪剛史サントリー元会長が辞任 これまでの言動に容赦ない声「45歳定年制とか、労働者を苦しめる発言ばかり」「生活のあらゆるとこにでしゃばりまくっていた」
NEWSポストセブン
王子から被害を受けたジュフリー氏、若き日のアンドルー王子(時事通信フォト)
《エプスタイン事件の“悪魔の館”内部写真が公開》「官能的な芸術品が壁にびっしり」「一室が歯科医院に改造されていた」10代少女らが被害に遭った異様な被害現場
NEWSポストセブン
初の海外公務を行う予定の愛子さま(写真/共同通信社 )
愛子さま、インスタに投稿されたプライベート感の強い海水浴写真に注目集まる “いいね”は52万件以上 日赤での勤務をおろそかにすることなく公務に邁進
女性セブン
岐路に立たされている田久保眞紀・伊東市長(共同通信)
“田久保派”の元静岡県知事選候補者が証言する “あわや学歴詐称エピソード”「私も〈大卒〉と勝手に書かれた。それくらいアバウト」《伊東市長・学歴詐称疑惑》
NEWSポストセブン
2021年に裁判資料として公開されたアンドルー王子、ヴァージニア・ジュフリー氏の写真(時事通信フォト)
「少女を島に引き入れ売春斡旋した」悪名高い“ロリータ・エクスプレス”にトランプ大統領は乗ったのか《エプスタイン事件の被害者らが「独自の顧客リスト」作成を宣言》
NEWSポストセブン
東京地裁
“史上最悪の少年犯罪”「女子高生コンクリート詰め事件」逮捕されたカズキ(仮名)が語った信じがたい凌辱行為の全容「女性は恐怖のあまり、殴られるままだった」
NEWSポストセブン
「高級老人ホーム」に入居したある70代・富裕層男性の末路とは…(写真/イメージマート)
【1500万円が戻ってこない…】「高級老人ホーム」に入居したある70代・富裕層男性の末路「経歴自慢をする人々に囲まれ、次第に疲弊して…」
NEWSポストセブン
”辞めるのやめた”宣言の裏にはある女性支援者の存在があった(共同通信)
「(市議会解散)あれは彼女のシナリオどおりです」伊東市“田久保市長派”の女性実業家が明かす田久保市長の“思惑”「市長に『いま辞めないで』と言ったのは私」
NEWSポストセブン