反発した北朝鮮はその後、国営メディアを通じて〈わが国が70年以上にわたり反米闘争の第一線にいることが中国の平和と安全を保証しており、中国は感謝の声を発するべき〉などと不満を表明したという。
つまり、中国が他国を代表して「カネは払わん!」と一蹴したことで交渉は破談に終わった──とされているのだ。
◆中国が記事を消さない理由
それにしても、毎年6兆円超とは、北朝鮮のGDP(国内総生産)2.8兆円の倍以上の額である。奥窪氏が言う。
「その後、この報道は日本のネットニュースにも和訳が掲載されましたが、それほど話題にはならなかった。しかし、最近の核実験報道を受けて、“北朝鮮が核を放棄する条件が提示されていた”としてにわかに注目を浴びています」
北朝鮮事情に詳しい『コリア・レポート』編集長・辺真一氏が言う。
「ニュースの真偽は不明ですが、仮に事実だとしても、10年で60兆円以上のカネなんて出せるはずがない。これも金正恩の核を盾にした挑発行為の一つなのかもしれません」
しかし、検閲が厳しい中国で、『中華網』の記事が現在も削除されずに残っているのは意味深だ。