◆「20議席減」で尻に火がつく
「一言に改憲勢力といっても、安倍首相が考えているのは自衛隊を憲法上に位置づける“9条3項”の創設。一方で、たとえば小池新党は『一院制導入』を前面に出すとみられるなど方向性は大きく違い、調整は一筋縄ではいかない」(同前)
その一方で、改憲発議のために残された時間は決して多くないのだ。前出・伊藤氏の指摘。
「安倍首相が来年1月の通常国会での発議にこだわってきたのは、2019年に参院選があるからです。この選挙は自民党が大勝を収めた2013年参院選の当選組(65議席)が改選となる。前回は野党協力が全く進んでいなかったから、1人区で自民が29勝2敗と圧勝できたが、次も同様に勝つのは至難の業。むしろ議席減になると考えられる」
つまり、発議がずれ込めば、先に「参院の3分の2」を失ってしまう可能性が高いのである。それを避けて安倍首相が短期間で改憲勢力をまとめ上げる主導権を握るためには、次の総選挙で「改憲勢力でギリギリ3分の2」では足りない。「仮に自民が20~30議席減らして、260~270議席程度にとどまれば、責任論で突き上げられて改憲発議どころではなくなる」(同前)とみられているのだ。
そのためには何が必要か。有権者が「民の反撃」をするための手段の有力な武器が「落選運動」だ。