ライフ

武蔵や麻布 名門校の「先生」たちは楽しい人生を生きている

武蔵で飼われているやぎ

 名門校の教育から「大人」はなにを学ぶべきなのか。御三家の教育を取材したふたりのライターの会話から考えてみた。(取材・文=フリーライター・神田憲行)

 * * *
 先日私は教育ジャーナリストのおおたとしまささんと紀伊國屋書店「武蔵と麻布、どっちが変?」というタイトルのトークイベントをした。おおたさんが最近、「名門校『武蔵』で教える東大合格より大事なこと」(集英社新書)という本を出版されて、「謎の進学校 麻布の教え」(同)という著書がある私とのカップリングだった。そのなかでのやりとりや、おおたさんの著書を読んで考えさせられたことを紹介したい。

「武蔵」とは東京都練馬区にある私立武蔵中等高等学校のことだ。中高一貫の男子私立高で、麻布、開成と並んで「御三家」と呼ばれる名門である。武蔵と麻布は自由な校風が似ていて、私も麻布の先生方から武蔵へのシンパシーを何度か聞いていた。

 だがおおたさんとやりとりしていて、やはり武蔵には武蔵の流儀があるのだなとわかった。

 たとえば入試問題である。武蔵の入試で算数の出題は、一問ごと手書きである。問題によっては筆跡が違うこともある。ちなみに入学後に渡される算数のオリジナルテキストも手書きだそうだ。

 さらに合格発表後、問題の出題意図と模範解答、受験者の回答の傾向まで発表する。私立中学でここまで公表する学校はかなり珍しいと思う。

 おおたさんによると、それは戦後からずっと続いている習慣だという。

「武蔵は『入試問題にこそ武蔵の教育観があらわれている』というプライドがあるんですよ。もともと武蔵って旧制7年制の学校で、12歳で武蔵に合格するとそのまんま帝国大学、今でいうところの東京大学にフリーパスで入れました」

「それが戦後、普通の中高一貫校になることによって、そのフリーパスがなくなりました。そこで一回低迷するわけです。で、そのときに、武蔵の先生たちは何をしたかっていうと、入試問題を近くの小学校に持って行って、『これが私たちが求めている、子どもたちの学力観です』っていって、そうやって一生懸命受験生を集めて、また進学校としての地位を築きなおしたという歴史があるので、いまもそれを続けているということです」

関連記事

トピックス

夜の街にも”台湾有事発言”の煽りが...?(時事通信フォト)
《“訪日控え”で夜の街も大ピンチ?》上野の高級チャイナパブに波及する高市発言の影響「ボトルは『山崎』、20万〜30万円の会計はざら」「お金持ち中国人は余裕があって安心」
NEWSポストセブン
東京デフリンピックの水泳競技を観戦された天皇皇后両陛下と長女・愛子さま(2025年11月25日、撮影/JMPA)
《手話で応援も》天皇ご一家の観戦コーデ 雅子さまはワインレッド、愛子さまはペールピンク 定番カラーでも統一感がある理由
NEWSポストセブン
大谷と真美子さんを支える「絶対的味方」の存在とは
《ドッグフードビジネスを展開していた》大谷翔平のファミリー財団に“協力するはずだった人物”…真美子さんとも仲良く観戦の過去、現在は“動向がわからない”
NEWSポストセブン
山上徹也被告(共同通信社)
「金の無心をする時にのみ連絡」「断ると腕にしがみついて…」山上徹也被告の妹が証言した“母へのリアルな感情”と“家庭への絶望”【安倍元首相銃撃事件・公判】
NEWSポストセブン
被害者の女性と”関係のもつれ”があったのか...
《赤坂ライブハウス殺人未遂》「長男としてのプレッシャーもあったのかも」陸上自衛官・大津陽一郎容疑者の “恵まれた生育環境”、不倫が信じられない「家族仲のよさ」
NEWSポストセブン
悠仁さま(2025年11月日、写真/JMPA)
《初めての離島でのご公務》悠仁さま、デフリンピック観戦で紀子さまと伊豆大島へ 「大丈夫!勝つ!」とオリエンテーリングの選手を手話で応援 
女性セブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(読者提供)
《足立暴走男の母親が涙の謝罪》「医師から運転を止められていた」母が語った“事件の背景\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\"とは
NEWSポストセブン
大谷翔平が次のWBC出場へ 真美子さんの帰国は実現するのか(左・時事通信フォト)
《大谷翔平選手交えたLINEグループでやりとりも》真美子さん、産後対面できていないラガーマン兄は九州に…日本帰国のタイミングは
NEWSポストセブン
高市早苗首相(時事通信フォト)
《日中外交で露呈》安倍元首相にあって高市首相になかったもの…親中派不在で盛り上がる自民党内「支持率はもっと上がる」
NEWSポストセブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(現場写真/読者提供)
【“分厚い黒ジャケット男” の映像入手】「AED持ってきて!」2人死亡・足立暴走男が犯行直前に見せた“奇妙な”行動
NEWSポストセブン
高市早苗首相の「台湾有事」発言以降、日中関係の悪化が止まらない(時事通信フォト)
「現地の中国人たちは冷めて見ている人がほとんど」日中関係に緊張高まるも…日本人駐在員が明かしたリアルな反応
NEWSポストセブン
10月22日、殺人未遂の疑いで東京都練馬区の国家公務員・大津陽一郎容疑者(43)が逮捕された(時事通信フォト/共同通信)
《赤坂ライブハウス刺傷》「2~3日帰らないときもあったみたいだけど…」家族思いの妻子もち自衛官がなぜ”待ち伏せ犯行”…、親族が語る容疑者の人物像とは
NEWSポストセブン