芸能

加藤剛 「舞台は歩くに始まり、歩くに終わる」と教えられた

加藤剛が俳優座養成所で学んだ時代を振り返る

 映画史・時代劇研究家の春日太一氏がつづった週刊ポスト連載『役者は言葉でできている』。今回は、1970年から約30年もの長い間、『大岡越前』を演じた俳優・加藤剛が、演劇に惹かれ、俳優座養成所で学んだ芝居について語った言葉を紹介する。

 * * *
 加藤剛は1956年に早稲田大学に入学、役者としてのスタートはそこでの学生演劇だった。

「はじめから役者になろうとは思っていなかったんです。高校生の時に父の書棚にあったチェーホフの戯曲を読みましてね。読んでいるうちに白樺の林とか、ロシアの情景が自分の中でイメージできました。それで演劇の世界に惹かれていきました。

 芝居の仕事がしたいと思って早稲田の演劇科に進学して、自由舞台という学生劇団に入りました。最初は裏方をしていましたが、段々と役者をやるようになっていったんです。その時に先輩方から、舞台で役者がその人の人柄を生きるということを指導されたのですが、役の精神を生きるというか、心を生きるのは難しかったですね」

 その後、俳優座養成所に進み、本格的に役者への道に入る。

「俳優座養成所は先輩に勧められて入りました。役者になるということを決意や決心したということはなかったんですよね。ただ続けていたというだけで、結果的にそうなったんです。

 養成所では、先輩たちの稽古場を外からですが見られたのが勉強になりました。千田是也さんや三島雅夫さんといった大先輩に、仲代達矢さんや平幹二朗さん。ですから教えてもらうというより、先輩たちを実際に見て、どうやって表現していくかということを学びました。

 ただ、いちばんよく観て学んだのは、よそになりますが劇団民藝の滝沢修さんです。特に言い回しですね。せりふがお客様の心の中に非常に快く入っていくような、そういう喋り方や抑揚とか、魅かれましたね。影響を受けています」

関連キーワード

関連記事

トピックス

運転席に座る広末涼子容疑者
《事故後初の肉声》広末涼子、「ご心配をおかけしました」騒動を音声配信で謝罪 主婦業に励む近況伝える
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン
真美子さん着用のピアスを製作したジュエリー工房の経営者が語った「驚きと喜び」
《真美子さん着用で話題》“個性的なピアス”を手がけたLAデザイナーの共同経営者が語った“驚きと興奮”「子どもの頃からドジャースファンで…」【大谷翔平と手繋ぎでレッドカーペット】
NEWSポストセブン
鶴保庸介氏の失言は和歌山選挙区の自民党候補・二階伸康氏にも逆風か
「二階一族を全滅させる戦い」との声も…鶴保庸介氏「運がいいことに能登で地震」発言も攻撃材料になる和歌山選挙区「一族郎党、根こそぎ潰す」戦国時代のような様相に
NEWSポストセブン
山尾志桜里氏に「自民入りもあり得るか」聞いた
【国民民主・公認取り消しの余波】無所属・山尾志桜里氏 自民党の“後追い公認”めぐる記者の直撃に「アプローチはない。応援に来てほしいくらい」
NEWSポストセブン
レッドカーペットを彩った真美子さんのピアス(時事通信)
《価格は6万9300円》真美子さんがレッドカーペットで披露した“個性的なピアス”はLAデザイナーのハンドメイド品! セレクトショップ店員が驚きの声「どこで見つけてくれたのか…」【大谷翔平と手繋ぎ登壇】
NEWSポストセブン
竹内朋香さん(左)と山下市郎容疑者(左写真は飲食店紹介サイトより。現在は削除済み)
《浜松ガールズバー殺人》被害者・竹内朋香さん(27)の夫の慟哭「妻はとばっちりを受けただけ」「常連の客に自分の家族が殺されるなんて思うかよ」
週刊ポスト
サークル活動に精を出す悠仁さま(2025年4月、茨城県つくば市。撮影/JMPA)
《普通の大学生として過ごす等身大の姿》悠仁さまが筑波大キャンパス生活で選んだ“人気ブランドのシューズ”ロゴ入りでも気にせず着用
週刊ポスト
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
遠野なぎこさん(享年45)、3度の離婚を経て苦悩していた“パートナー探し”…それでも出会った「“ママ”でいられる存在」
NEWSポストセブン
レッドカーペットに登壇した大谷夫妻(時事通信フォト)
《産後“ファッション迷子期”を見事クリア》大谷翔平・真美子さん夫妻のレッドカーペットスタイルを専門家激賞「横顔も後ろ姿も流れるように美しいシルエット」【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 石破政権が全国自治体にバラ撒いた2000億円ほか
「週刊ポスト」本日発売! 石破政権が全国自治体にバラ撒いた2000億円ほか
NEWSポストセブン