こうした人たちは、第三者の助けがないと、“家垂れ死に”してしまうと、私は警鐘を鳴らしています。道端に倒れてしまう昔の野垂れ死にではなく、病院から強制的に家に送り返されて、自宅で誰のケアも受けられず、誰にも気づかれず死んでしまう“家垂れ死に”なんて、真っ平御免ですからね。私は常々、在宅で進めるんだったら、ひとり暮らしでも家で死ねるシステムをきちんと作ってほしいと主張してきたんです。

 そのことについて小笠原先生は、おひとりさまの人を何人も自宅で看取ってきた、誰でも家で死ねるとおっしゃっている。家族と一緒に暮らしている人にも、看護師やヘルパーが全部やるからと、家族に「面倒を見てやってください」と一度も言わないところも素晴らしい。実際、小笠原先生を中心にさまざまな職種の人がチームを組んで看取りまで見届ける姿は、とても説得力がありました。日本の在宅医療の最前線はここまで来ているんだとわかって、心強く感じました。

 ただし、こうした最前線の医療がいったいどこまで行き渡っているのかは依然として疑問です。

 私自身、在宅医療を受けたいと思った時に、誰に頼んだらいいのか、誰が最期まで診てくれるのか、全然わかりません。予めそうした情報を集めておくことも、これからの高齢者の「するべき用意」の1つだと思いました。また、自分の死のあり方について家族と話し合ったり書面化しておくことも大切です。延命治療はどこまでやるのか。元気なうちに意思表示しておくことが必要ですし、家族もそれを受け入れる必要があります。私たち高齢者がやるべきことは実に多いですよ。

※女性セブン2017年10月19日号

関連記事

トピックス

元皇族の眞子さんが極秘出産していたことが報じられた
《極秘出産の眞子さんと“義母”》小室圭さんの母親・佳代さんには“直接おめでたの連絡” 干渉しない嫁姑関係に関係者は「一番楽なタイプの姑と言えるかも」
NEWSポストセブン
岐阜県を訪問された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年5月20日、撮影/JMPA)
《ご姉妹の“絆”》佳子さまがお召しになった「姉・眞子さんのセットアップ」、シックかつガーリーな装い
NEWSポストセブン
会話をしながら歩く小室さん夫妻(2025年5月)
《極秘出産が判明》小室眞子さんが夫・圭さんと“イタリア製チャイルドシート付ベビーカー”で思い描く「家族3人の新しい暮らし」
NEWSポストセブン
ホームランを放ち、観客席の一角に笑みを見せた大谷翔平(写真/アフロ)
大谷翔平“母の顔にボカシ”騒動 第一子誕生で新たな局面…「真美子さんの教育方針を尊重して“口出し”はしない」絶妙な嫁姑関係
女性セブン
川崎春花
女子ゴルフ“トリプルボギー不倫”で協会が男性キャディにだけ「厳罰」 別の男女トラブル発覚時に“前例”となることが避けられる内容の処分に
NEWSポストセブン
寄り添って歩く小室さん夫妻(2025年5月)
《木漏れ日の親子スリーショット》小室眞子さん出産で圭さんが見せた“パパモード”と、“大容量マザーズバッグ”「夫婦で代わりばんこにベビーカーを押していた」
NEWSポストセブン
六代目体制は20年を迎え、七代目への関心も高まる。写真は「山口組新報」最新号に掲載された司忍組長
《司忍組長の「山口組200年構想」》竹内新若頭による「急速な組織の若返り」と神戸山口組では「自宅差し押さえ」の“踏み絵”【終結宣言の余波】
NEWSポストセブン
第1子を出産した真美子さんと大谷(/時事通信フォト)
《母と2人で異国の子育て》真美子さんを支える「幼少期から大好きだったディズニーソング」…セーラームーン並みにテンションがアガる好きな曲「大谷に“布教”したんじゃ?」
NEWSポストセブン
俳優・北村総一朗さん
《今年90歳の『踊る大捜査線』湾岸署署長》俳優・北村総一朗が語った22歳年下夫人への感謝「人生最大の不幸が戦争体験なら、人生最大の幸せは妻と出会ったこと」
NEWSポストセブン
漫才賞レース『THE SECOND』で躍動(c)フジテレビ
「お、お、おさむちゃんでーす!」漫才ブームから40年超で再爆発「ザ・ぼんち」の凄さ ノンスタ石田「名前を言っただけで笑いを取れる芸人なんて他にどれだけいます?」
週刊ポスト
違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者と職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(左・Instagramより)
「よだれを垂らして普通の状態ではなかった」レーサム創業者“薬物漬け性パーティー”が露呈した「緊迫の瞬間」〈田中剛容疑者、奥本美穂容疑者、小西木菜容疑者が逮捕〉
NEWSポストセブン
大阪・関西万博で「虫が大量発生」という新たなトラブルが勃発(写真/読者提供)
《万博で「虫」大量発生…正体は》「キャー!」関西万博に響いた若い女性の悲鳴、専門家が解説する「一度羽化したユスリカの早期駆除は現実的でない」
NEWSポストセブン