ライフ

74歳ライフセーバー「見えないところでも海の安全守っとる」

74歳のライフセーバー・本田幸男さん(撮影:大塚恭義)

 定年退職までは、家族のため、会社のために働いてきたけど、リタイアしてからはどうしよう──そんな、「第2の人生」のスタート地点で、選択肢の一つとして出てくるのが、ボランティアだ。“これからは、社会のために”と一念発起し、「定年後ボランティア」で汗をかく老後を選んだ人に密着した。

 海水浴客で賑わう真夏のビーチに、野太い男性の怒鳴り声が響く──振り返ると、飛び込み禁止の場所で遊んでいた若者を、高齢のライフセーバーが叱りつけていた。

 声の主は、本田幸男さん(74)。体は小さいが豪胆な性格で、このビーチでは知らない人はいないという。玄界灘に面した海水浴場で、「玄海ライフセービングクラブ」の一員として活動している。

 現役時代は日本化薬に入社し工場監督などを歴任するなど山口県で会社員として過ごした。42歳から始めたトライアスロンが縁で、10数年前に仲間とライフセーバーのボランティアを始めた。定年後、地元に戻り現在のクラブに所属する。

「そんな小さな体でよく務まりますね、と言う人もいるが、海に飛び込んで救助するだけじゃない。シーズンオフにも毎月行なうビーチの清掃や、遊泳禁止区域を分けるブイの設置も私たちの仕事。見えないところでも海の安全を守っとる」

 日々のトレーニングはもちろん、シーズン前には近隣の人を対象に安全講習会も行なう。

「体はきついよ。でも、やりがいは仕事以上だね」と笑った。

【団体DATA】NPO法人「玄海ライフセービングクラブ」:福岡県の芦屋海水浴場と海浜公園内のレジャープールを拠点に活動。パトロールやビーチの清掃、水難救助、安全講習会などを行なう。1999年設立。

※週刊ポスト2017年10月13・20日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

滋賀県を訪問された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年10月25日、撮影/JMPA)
《すぐに売り切れ》佳子さま、6万9300円のミントグリーンのワンピースに信楽焼イヤリングを合わせてさわやかなコーデ スカーフを背中で結ばれ、ガーリーに
NEWSポストセブン
注目される次のキャリア(写真/共同通信社)
田久保真紀・伊東市長、次なるキャリアはまさかの「国政進出」か…メガソーラー反対の“広告塔”になる可能性
週刊ポスト
送検のため奈良西署を出る山上徹也容疑者(写真/時事通信フォト)
《安倍晋三元首相銃撃事件・初公判》「犯人の知的レベルの高さ」を鈴木エイト氏が証言、ポイントは「親族への尋問」…山上徹也被告の弁護側は「統一教会のせいで一家崩壊」主張の見通し
NEWSポストセブン
この笑顔はいつまで続くのか(左から吉村洋文氏、高市早苗・首相、藤田文武氏)
自民・維新連立の時限爆弾となる「橋下徹氏の鶴の一声」 高市首相とは過去に確執、維新党内では「橋下氏の影響下から独立すべき」との意見も
週刊ポスト
元・明石市長の泉房穂氏
財務官僚が描くシナリオで「政治家が夢を語れなくなっている」前・明石市長の泉房穂氏(62)が国政復帰して感じた“強烈な危機感”
NEWSポストセブン
新恋人のA氏と腕を組み歩く姿
《そういう男性が集まりやすいのか…》安達祐実と新恋人・NHK敏腕Pの手つなぎアツアツデートに見えた「Tシャツがつなぐ元夫との奇妙な縁」
週刊ポスト
女優・八千草薫さんの自宅が取り壊されていることがわかった
《女優・八千草薫の取り壊された3億円豪邸の今》「亡き夫との庭を遺してほしい」医者から余命宣告に死の直前まで奔走した土地の現状
NEWSポストセブン
左から六代目山口組・司忍組長、六代目山口組・高山清司相談役/時事通信フォト、共同通信社)
「六代目山口組で敵う人はいない」司忍組長以上とも言われる高山清司相談役の“権力” 私生活は「100坪豪邸で動画配信サービス視聴」も
NEWSポストセブン
35万人以上のフォロワーを誇る人気インフルエンサーだった(本人インスタグラムより)
《クリスマスにマリファナキットを配布》フォロワー35万ビキニ美女インフルエンサー(23)は麻薬密売の「首謀者」だった、逃亡の末に友人宅で逮捕
NEWSポストセブン
クマ被害で亡くなった笹崎勝巳さん(左/バトル・ニュース提供、右/時事通信フォト)
《激しい損傷》「50メートルくらい遺体を引きずって……」岩手県北上市・温泉旅館の従業員がクマ被害で死亡、猟友会が語る“緊迫の現場”
NEWSポストセブン
WSで遠征観戦を“解禁”した真美子さん
《真美子さんが“遠出解禁”で大ブーイングのトロントへ》大谷翔平が球場で大切にする「リラックスできるルーティン」…アウェーでも愛娘を託せる“絶対的味方”の存在
NEWSポストセブン
ベラルーシ出身で20代のフリーモデル 、ベラ・クラフツォワさんが詐欺グループに拉致され殺害される事件が起きた(Instagramより)
「モデル契約と騙され、臓器を切り取られ…」「遺体に巨額の身代金を要求」タイ渡航のベラルーシ20代女性殺害、偽オファーで巨大詐欺グループの“奴隷”に
NEWSポストセブン