「マイコさんのように夢を諦めきれない方々を騙す、典型的な手法です。撮影代、登録代と言って金を巻き上げ、仕事の存在をチラつかせながらレッスン料名目で更に金を要求する。ほとんどの方々はここで気がつき身を引きますが、どうしても夢を諦めきれないという人々は、ずっと搾取され続けます。
若い女の子などは、親をも巻き込んで徹底的に金を搾取する。事務所によっては自作自演のための”ファッションサイト”を別に作り、そこに出演させることで”仕事をした”ことにさせる。無料のブログやSNSアカウントを作ってあげれば、”いいね”の数はカネで買えるしタレントも納得しちゃうんですね。反社会勢力絡みの人間が運営に関与している場合がほとんどで、辞めようとすると脅されたり、莫大な違約金を求められたりするから泥沼から抜け出せない。売春を強要されることだってあります」
本来であれば、時間とカネをかけてタレントやモデルを育てるのは事務所の仕事だが、騙された「夢見る人々」は積極的に身銭を切る。夢見る人々が失敗しようが事務所にはなんらマイナスはなく、万一成功すれば儲けもん、ということ。夢見る人々はまさに「奴隷」に成り下がる。
「テレビや雑誌だけでなく、ネットメディアなど露出の機会が増えたことで、夢を捨てきれないという方々が可視化されています。ツイッターやインスタなどのSNSを使って若い女性をスカウトする悪徳業者もいますから、注意が必要です」
SNSという新しいツールを得たことで、芸能人のように注目され賞賛される体験のミニチュア版が容易に味わえるようになった。実際に事務所に所属して憧れの世界に加わろうとしても、そううまくはいかない。様々な名目の料金ばかり請求され、”騙されているのでは”とうっすら勘付きながらも、きっとまだチャンスがあるという甘いささやきのほうを信じてしまう。
筆者への告白以降も芸能活動を続けるマイコさんのように、キャリアを積み重ねて安定した仕事と収入があり、大人の分別を持っている人ですら、青春時代の夢をくすぐられるととたんに判断力が鈍ってしまう。そして、モデルになりたかった、芸能人になりたかった若い頃の思い出を卑劣な手段で利用されている。彼女の純粋な憧れを、金銭にまつわる苦い記憶に堕としかねない悪徳ビジネスを放置しておいてよいのだろうか。