「トラベルヘルパーを利用して、高齢の親御さんと旅行に行かれたご家族が驚くのは、旅先でのイキイキした表情。気難しいと思っていた親御さんがよくしゃべり、いつもはじっとしているのに、旅先ではどんどん動いていたと。普段、受け身で発揮していない力が、旅先の空気感で解放されるのかもしれません。旅の威力を改めて感じます」
日本トラベルヘルパー協会が輩出するトラベルヘルパーは、介護職員初任者研修の資格と、旅程管理などの旅行・観光の業務知識を兼ね備え、旅行に同行しながら排泄・入浴・食事・乗り物移乗などの介助をしてくれる。
「宿や交通手段の手配をして全旅程にトラベルヘルパーが同行する以外にも、たとえば旅先まではご本人やご家族だけで行き、現地での観光同行、宿での入浴や食事の介助だけをトラベルヘルパーが担う形でも利用できます。この場合は、旅先の見どころを熟知した地元のトラベルヘルパーがお世話するので、ガイドブックやネットにはない旅ができて好評です」
トラベルヘルパーの資格者は全国に約1000人近く。介護施設や旅行会社などでも活躍中。またトラベルヘルパーの派遣、要介護者向け旅行のコーディネートを行うあ・える倶楽部では海外・国内の旅行から、墓参りや結婚式のための旅、買い物や食事などの半日程度のお出かけまで、さまざまな外出を支援する。
「今のところ要介護者に対する公的サービスは、病院やデイサービスなど必要な場所への“移送”。しかしようやく外出の大切さが理解され、国がユニバーサルツーリズム(国土交通省)のしくみを作り始め、自治体では地域包括支援の“外出支援”、介護保険外では旅行会社が介護旅行やバリアフリー旅行などを続々と売り出しています。
旅は究極のリハビリ。ぜひ外に出ましょう。親御さんを旅に誘ってください」
■文/N記者
※女性セブン2017年10月19日号