よく「甲子園は日本一水はけがいい」といわれる。金沢氏によれば、「土の配合や形状など構造的な面もあるが、日頃の手作業によって仕上げられた成果によるところが大きい」という。
「グラウンド作りは1月から始まります。地中30cmまで耕し、雨が降るのを待って時間をかけて固め直す。自然の雨を利用するのはグラウンド全体に水を均等に撒いてくれるためです。
そこでしっかり固まって壊れにくいベストの状態の水加減を見極めながら固めていく。毎年、気温や雨の量が違うため、すべて経験と勘で見極めなければならない。一人前になるには最低でも10年かかりますね」(金沢氏)
観客を魅了する美技は、陰で支える人たちがいてこそ生まれるものなのだ。
※週刊ポスト2017年10月13・20日号