「大きな駅で自分が乗る電車のさらに奥でも電車が走っている場合、どちらの電車が来たのかを音で判断するのは難しい。電車が来ていないのに間違えて乗車しようとして、ホームから転落してしまうといったケースは少なくないようです。小さなホームでも、押し寄せる通行人とぶつかると進んでいる方向がわからなくなり、段差を下りの階段と間違えてホームから落ちることもあります」
そう語る高田さん自身、ホームから転落しそうになった怖い思い出がある。
「電車が来たので乗ろうとしたら、車両とホームの隙間が予想以上に広かった。“これくらい足を前に出せばいいだろう”と思って足を伸ばしたのに電車に届かず、片足のひざくらいまでズルッと落ちました。幸い、近くにいた人に助けられたので事なきを得ました」
先のアンケートにあるように、視覚障害者の6割がホームから転落しそうになり、4割近くが実際に転落している。対策は待ったなしのはずなのに、いつまでもホームから転落した人を救助した逸話ばかりが語り継がれる。その繰り返しに高田さんは違和感を持つ。
「転落事故をただの美談として終わらせるのではなく、“こういう問題があるからこう解決しよう”という方向になれば嬉しいです。ほとんどの転落事故は、ホームドアがあれば防げたことは間違いないので、すべての駅に早くドアを設置してほしい。
私には子供がいます。ホームで手を離すとどこにいるかわからなくなり、自分が転落するのが怖いので子供を捜せません。そういう場合も、ホームドアがあると助かります。できれば、こういう問題は目の見える人の意見だけではなく、実際に目が見えない視覚障害者の意見も取り入れてほしいです」
※女性セブン2017年11月9日号