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中国での乳飲み子誘拐事件 スマホが解決した例もある

使い方次第で強力な武器に

 中国では頻繁に誘拐事件が発生するという。だが時に、その場に居合わせた人々の機転によって被害を未然に防ぐことができる場合もある。拓殖大学海外事情研究所教授の富坂聰氏がレポートする。

 * * *
 これも女性ならではの細心さなのだろうか、それとも鉄道員であるがゆえのお手柄か、はたまたスマホ普及率の高い社会の勝利なのだろうか──。

 10月8日、中国共産党中央機関紙『人民日報』は、一人の女性の活躍をきっかけに大規模な子供誘拐事件が解決したという内容の記事を掲載した。誘拐がいまだ頻発している現状は、いまだ中国社会にとっての深い悩みとなっていて、記事に対する反響は大きかった。

 判明した女性の活躍はまさに探偵顔負けだった

 8月3日、四川省成都鉄路局に勤める李沁遥は、帰宅の途中のバスの中で乳飲み子を抱いた若い男に違和感を覚えた。

「もう秋も深まろうという時期なのに、子供が着せられているのは半袖の薄い1枚の服だけ。寒そう……」

 この違和感が気になって見ていると、若い男は子供が泣くと強く叩くだけであやしたり話しかけたりもしない。よく見れば子供のおしめやミルクなど生活用品もない。

 誘拐かもしれない──彼女がそう感じたのは普段から鉄道員として教育を受けていたからである。誘拐された子供はたいてい長い時間を鉄路で移動するため、警戒が義務付けられているのだ。

 ただバスのなかは人が少なく、李の席は男との距離も近く、警察に通報することもできない。また下手に動けば逃げられてしまうかもしれない。どうしよう。李の頭にひらめいたのはスマホで不特定多数の人に知らせることだ。

 そこで、まずこっそり男と乳児の写真を撮り、それをネットに挙げると同時に男が降りると思われる2つ先の終点駅にいる人々に対して、「誘拐かもしれないから、万象城駅付近にいる人は通報して」とメッセージを残したのだった。帰宅時で、彼女のバッテリーも間もなく無くなろうとしていた。

 結局、この2時間後に犯人は逮捕され、赤ちゃんは無事両親のもとに帰ることができたという。

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