国内

危険な歩きスマホの蔓延 根には日本人の“無関心化”か

ハワイでは10月より歩きスマホに罰金が課されることに(写真/アフロ)

 駅のホームなどで問題になっている歩きスマホ。スマホによる事故は駅だけでなく街の至るところで起きている。2013年10月には、東京・板橋でケータイを見ながら歩行していた40代男性が、遮断機が下りたことに気づかず線路内に進入し、電車にはねられて死亡した。

 また同年5月には、JR四ツ谷駅で、ケータイをいじりながら歩いていた小学5年生の男児が線路に転落し、口などを負傷した。最近は、歩きスマホを狙った「当たり屋」まで出現している。

 今年7月、兵庫県神戸市のJR三ノ宮駅のホームで歩きスマホをしていた50代の女性に対し、50代男性がすれ違いざまに体当たり。女性は転倒し、頭蓋骨骨折で一時意識不明の重体となった。

 男性は傷害罪で起訴され、取り調べに対し、「相手がスマホをしているのが悪い」と供述したという。交通事故も増加傾向にある。警察庁によれば、2016年度、運転中にスマホや携帯電話を使用したことによる交通事故は1999件発生。

 これは、2011年から1.5倍以上に急増。このうち死亡事故は27件だった。歩きスマホやながらスマホが危険なのは、線路に転落するなどで自らが被害を被ることだけでない。愛知工科大学名誉教授で特任教授の小塚一宏さんは「スマホは人生を変える」と警鐘を鳴らす。

「歩きスマホをしていて人とぶつかりそうになる時、相手が若ければサッとよけますが、高齢者や子供はよけきれずに衝突し、ホームに転落する可能性があります。駅のホームやエスカレーター、運転中などにスマホをいじっていると重大な事故の加害者となり、相手の命を奪う可能性がある。何の落ち度もない人を被害者にし、被害者と自分の人生を台無しにしてしまう。軽い気持ちでスマホをいじっていただけで人生が変わることになるのです」

 東京消防庁管内だけでも、歩きスマホやながらスマホ運転中の事故で、2011年以降毎年30人以上が救急搬送された。この数は2016年に50人に達しており、ホームドア設置と同様、早急な対策が求められる。

 先に述べた通り、視覚障害者にとって駅のホームは危険な場所だが、今は道路も同じぐらい危険が潜んでいると、ある視覚障害者が言う。

「ここ数年は、駅のホームと同じくらい、歩道を歩くのも怖い。昔はぶつかることなんてなかったけれど、今は肩がぶつかるなんてことは日常茶飯事です。誰も、前を向いていませんからね」

◆平気で見て見ぬふりをする日本人

 さまざまな問題を引き起こす歩きスマホだが、海外でも同様の事故が多発している。最近の事例では、今年6月に米ニュージャージー州で歩きスマホをしていた女性が歩道の一部でガス管工事をしていることに気づかず、深さ180cmほどの穴に転落した。監視カメラがその様子をとらえており、無様な動画が世界を駆け巡った。

関連記事

トピックス

安福久美子容疑者(69)の学生時代
《被害者夫と容疑者の同級生を取材》「色恋なんてする雰囲気じゃ…」“名古屋・26年前の主婦殺人事件”の既婚者子持ち・安福久美子容疑者の不可解な動機とは
NEWSポストセブン
ブラジルにある大学の法学部に通うアナ・パウラ・ヴェローゾ・フェルナンデス(Xより)
《ブラジルが震撼した女子大生シリアルキラー》サンドイッチ、コーヒー、ケーキ、煮込み料理、ミルクシェーク…5か月で4人を毒殺した狡猾な手口、殺人依頼の隠語は“卒業論文”
NEWSポストセブン
9月6日に成年式を迎え、成年皇族としての公務を本格的に開始した秋篠宮家の長男・悠仁さま(時事通信フォト)
スマッシュ「球速200キロ超え」も!? 悠仁さまと同じバドミントンサークルの学生が「球が速くなっていて驚いた」と証言
週刊ポスト
ソウル五輪・シンクロナイズドスイミング(現アーティスティックスイミング=AS)銅メダリストの小谷実可子
《顔出し解禁の愛娘は人気ドラマ出演女優》59歳の小谷実可子が見せた白水着の筋肉美、「生涯現役」の元メダリストが描く親子の夢
NEWSポストセブン
ドラマ『金田一少年の事件簿』などで活躍した古尾谷雅人さん(享年45)
「なんでアイドルと共演しなきゃいけないんだ」『金田一少年の事件簿』で存在感の俳優・古尾谷雅人さん、役者の長男が明かした亡き父の素顔「酔うと荒れるように…」
NEWSポストセブン
マイキー・マディソン(26)(時事通信フォト)
「スタイリストはクビにならないの?」米女優マイキー・マディソン(26)の“ほぼ裸ドレス”が物議…背景に“ボディ・ポジティブ”な考え方
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる
《かつてのクマとはまったく違う…》「アーバン熊」は肉食に進化した“新世代の熊”、「狩りが苦手で主食は木の実や樹木」な熊を変えた「熊撃ち禁止令」とは
NEWSポストセブン
アルジェリア人のダビア・ベンキレッド被告(TikTokより)
「少女の顔を無理やり股に引き寄せて…」「遺体は旅行用トランクで運び出した」12歳少女を殺害したアルジェリア人女性(27)が終身刑、3年間の事件に涙の決着【仏・女性犯罪者で初の判決】
NEWSポストセブン
ガールズメッセ2025」に出席された佳子さま(時事通信フォト)
佳子さまの「清楚すぎる水玉ワンピース」から見える“紀子さまとの絆”  ロングワンピースもVネックの半袖タイプもドット柄で「よく似合う」の声続々
週刊ポスト
永野芽郁の近影が目撃された(2025年10月)
《プラダのデニムパンツでお揃いコーデ》「男性のほうがウマが合う」永野芽郁が和風パスタ店でじゃれあった“イケメン元マネージャー”と深い信頼関係を築いたワケ
NEWSポストセブン
園遊会に出席された愛子さまと佳子さま(時事通信フォト/JMPA)
「ルール違反では?」と危惧する声も…愛子さまと佳子さまの“赤色セットアップ”が物議、皇室ジャーナリストが語る“お召し物の色ルール”実情
NEWSポストセブン
9月に開催した“全英バスツアー”の舞台裏を公開(インスタグラムより)
「車内で謎の上下運動」「大きく舌を出してストローを」“タダで行為できます”金髪美女インフルエンサーが公開した映像に意味深シーン
NEWSポストセブン