ゴルフというのはとにかくお金がかかるもの。パターなどは数百万円もする骨董品のような品も存在するが、貸した高級クラブが曲がって返却された場合、きっちりと適正な弁償を求めることはできるのか? 弁護士の竹下正己氏が回答する。
【相談】
知人女性に旦那さんが接待ゴルフに行くので、見栄も張りたいから私の高級ゴルフセットを貸してほしいと頼まれました。しかし、返却されたドライバーが曲がっており、彼女に弁償を求めると「そんなに高級なら借りなければよかった。半額しか払えない」というのです。彼女の主張は正しいのでしょうか。
【回答】
知人女性の言い分は通用しません。ゴルフクラブを貸した行為は動産の貸与ですが、タダで使うことを認めたので使用貸借になります。使用貸借の借主は民法594条により、「契約又はその目的物の性質によって定まった用法に従い、その物の使用及び収益をしなければならない」とされています。
借主は借り受けたゴルフクラブの保管者として善良なる管理者の注意義務をもってこれを保管し、ゴルフクラブをその定まった用法である、ボールを打つことに使用しなければならないのです。ゴルフクラブが曲がったのがプレー中のことであれば、知人女性の旦那さんはボール以外の地面か樹の根で強打したのだと思います。これではゴルフクラブの定まった用法に従った使用とはいえません。
ビギナーであっても、クラブの用法に違いはありません。そのため用法違反になります。もし、プレー以外の機会に曲げたとすれば、保管に過失がなかったことを旦那さん側が立証する必要があります。