そしてもう1校、出雲で足元を“ナイキの厚底”で固めてきたのが東洋大だった。6区間の走者のうち、5人がこのシューズを履いていた。出雲では経験豊富な上級生がエントリーから外れており、下馬評は決して高くなかったが、フタを開けてみると4区までトップ争いに絡む健闘を見せている。
実は、出雲駅伝直前の10月上旬、あるトップ選手が埼玉県川越市にある東洋大グラウンドを訪れていた。ロンドン五輪とリオ五輪の2大会連続で5000m、1万mの2冠に輝いたモハメド・ファラーだ。東洋大がファラーの指導を受けたこと自体は、スポーツ紙などで報じられているが、西本氏はこんな見方をする。
「トラック種目からマラソンへの本格的な転向を表明しているファラーが履いているのは、やはりヴェイパーフライ4%です。10月7日に放送されたTBSの『オールスター感謝祭’17秋』の恒例企画である“赤坂5丁目ミニマラソン”には、ファラーがゲストとして出場していますが、このシューズを履いているのが確認できました。
出雲駅伝で出走した東洋大の選手のヴェイパーフライ4%には、ファラーの直筆サインが入っていたことも興味深い。東洋大がチームとしてこの“ナイキの厚底”の力をきちんと認識し、夏合宿から、この靴の力を活かしながら成績を底上げしていく戦略を立てていたからこそ、ナイキ契約選手のファラーが川越までわざわざ足を運んだのではないかと思うのです。ファラーの来日スケジュールを考えたら、二子玉川(東京・世田谷)にグラウンドあり、ナイキとユニフォーム契約を結んでいる駒澤大学のほうが便利ですから」
◆箱根に返り咲いた中央大主将も「このシューズはヤバイ」
出雲駅伝を現地で観戦し、東海大と東洋大が並走する様子を見た西本氏の指摘も興味深い。