注目すべきは今年、このシューズを履いた日本人選手が好成績を連発していることだ。4月にはボストン・マラソンで、リオ五輪5000m、1万m日本代表の大迫傑(早稲田大OB、現ナイキ・オレゴンプロジェクト)がヴェイパーフライ4%を履いて3位(2時間10分28秒)の成績を残した。9月には、やはりリオ五輪1万m代表の設楽悠太(東洋大OB、現ホンダ)がチェコで開かれたハーフマラソン大会で、10年ぶりに日本記録を更新している(1時間0分17秒)。西本氏の熱弁は続く。
「このシューズは前足部(足裏のつま先寄り)から接地して蹴り上げる、“トラック競技の走り方とスピード”のまま、長距離ロードを走れるように設計されているといいます。大迫選手はフルマラソンのデビュー戦で見事な走りを見せましたし、設楽選手が凄かったのはハーフマラソンで日本記録を出した翌週、ベルリン・マラソンにも出場して2時間9分3秒と自己ベストを更新したことです。尋常ではないハードスケジュールのなかで好成績を連発したことから、“足へのダメージが少なく、疲労回復も早くなる”という特性を持つシューズであることも見えてきました。
そうなると3か月あまりという短期間で出雲、全日本、箱根の三大駅伝を走り、スピードを維持しながら20kmを超える箱根ディスタンスに対応していかなければならない、箱根ランナーにとって“ドンズバ”な靴ということになってきます」
◆東海大と東洋大は導入済み
陸上関係者の間では、早くから注目を集め、今年7月に市販モデルが日本で発売になると品薄状態が続いていた。