今年発売された新ブランド米は、この頃に開発に乗り出した新品種が形になったもの。「10年の歳月をかけて開発」(金色の風)、「8年の歳月をかけて」(新之助)、「6年の歳月をかけて」(いちほまれ)と似たような売り文句が目立つが、そこまで横並びでなくてもいいような気もする。開発期間によらず、農家にとっては収益性、消費者にとっては味が大切なのだ。
5年前に決定されたとおり、2018年には減反政策が終了する。国がわざわざ補助金を出して生産を制限するという、珍妙な仕組みがようやく終わる。新ブランド米のなかにはコシヒカリに取って代わろうとしてか、いきなり強気な価格をつけたコメもある。新ブランド米群雄割拠のなか、生き残るのはどのコメか。コシヒカリに代わり、天下統一を果たす新ブランド米は出現しうるのか。
マーケティング主導で売り出し価格を設定するのも、たしかに戦略のひとつだろう。だが、コシヒカリも一朝一夕でいまの地位を獲得したわけではない。県知事のトップセールスなどの空中戦だけでなく、各農家の地道な努力があってこそ新ブランド米の質や評価は向上していくはずだ。
茶碗を片手に持つわれわれの願いはただひとつ。「うまいコメが食いたい」のだ。