頻繁に通う店であれば、毎回同じお通しというのも味気ない。“常連を飽きさせないための配慮があるか”はお通しが変わるペースからも読み取れる。カギとなるのは“季節感”だ。
「たとえば、揚げ物に使う野菜のネタ。春ならばアスパラガスやタケノコ、夏はインゲンやカボチャ、秋はギンナンやサツマイモ、冬ならゴボウやユリネというように、揚げ物にさりげなく旬のものを取り入れている店は、客を楽しませようという心意気が感じられます」(前出・居酒屋オーナー)
一方、数多くの“居酒屋本”を出版している作家・太田和彦氏は、「焼き茄子のように、値段は高くできないが、意外に手間のかかる料理を出している居酒屋は、間違いなくいい店です」と太鼓判を押す。
薬味からも店の姿勢が見える。『おじさん酒場』の著者で、自らも飲食店を経営する山田真由美氏がこう話す。
「高価な本わさびを大衆居酒屋で求めるのはさすがに酷ですが、ニンニクやショウガは安いので、良心的な店は生のものを使っています。そうした細やかさや手間をかける姿勢が、店の雰囲気にも表われてくると思います」
これから10年間通いたくなる店、いや死ぬまで通える「ご近所居酒屋」はきっとあなたの住む街にもあるはず。第2の人生を満喫しようではないか。
※週刊ポスト2017年12月1日号