親が知らない子供の世界は、昔とは比較にならないほどに大きく広がっているのだ。子供たちのネット事情に詳しいIT企業「グリー」社会貢献チームの小木曽健さんが語る。
「SNSでは、誰かに相談したり、画面を見せながら投稿することはありません。スマホを使っている間はひとりぼっちの外出と同じ。今、子供たちはネットを通じて繁華街でも海外でも簡単にひとりで出かけられるんです」
ひとりきりでネット空間に出かけていき、そこで知り合った人と会う。それが身元のはっきりした相手ならいいが、名前や素性を偽り、悪意を持った相手が近づいてきたらどうなるのか。
実際、子供を狙ったSNS上の犯罪は増加の一途をたどっている。警察庁の統計によると2016年のコミュニティーサイト等に起因する被害児童数は過去最多の1736人にのぼった。
被害内容では、裸の写真を子供に送らせるなどの児童ポルノや、児童買春が最も多かった。なかでも、ツイッターでの被害は1年間で2倍に急増している。
「ツイッターは実質的な年齢規制がなく、登録も簡単で複数のアカウントを作ることもでき、規約違反へのペナルティーも充分とはいえない。SNSの中でもとくに犯罪者が入り込みやすいサービスです。彼らにとってネット上で子供たちを騙すのはたやすいことです」(小木曽さん)
座間9人遺体事件の白石隆浩容疑者(27才)は、「死にたい」という思いを抱えた被害者たちを言葉巧みに誘い出し、殺害した。
2013年に東京・三鷹市で女子高生が元交際相手からストーカー被害を受けた末に殺害された事件も、SNSでの出会いがきっかけだった。
2016年5月には同じく東京の小金井市で、音楽活動をしていた女子大生が、ツイッターで知り合った男に執拗につきまとわれ、刺傷される殺人未遂事件も起きている。
※女性セブン2017年12月14日号