国内

SNS普及で変化する子供の環境 “ご近所”という概念消滅

携帯電話の登場で親のあり方も子のあり方も大きく変容

 84.2%。これは2016年の内閣府調査による小学生のネット機器保有率だ。子供をとりまく状況が変わるにつれ、親のあり方も変わってきた。教育評論家の親野智可等(おやのちから)さんが言う。

「携帯電話の普及は、子供だけでなく親たちの意識も大きく変えました。昔は子供が『誰とどこに行くか』を把握していないと連絡の取りようがなかった。でも、今はいつでも連絡がつくので『必ずしも事前に伝えなくてもいい』という感覚の家庭もあります。夫の出張時も、昔は宿泊先の住所や電話番号を必ず確認したけれど、今はいちいち聞きません。それと同じことが親子関係にも起きている」

 携帯電話がない時代は、友達同士で遊ぶ約束も家の固定電話にかけて親に取り次いでもらうのが日常で、学校に関する重要な連絡は生徒や親が固定電話にかけて回していく、『電話連絡網』が機能していた。しかし今や、友達同士の連絡で固定電話が使われることはめったになくなり、個人情報保護の名目で、電話連絡網を使用する学校も減少している。

 また、昔は地域社会が子供たちを見守り、たとえわが子でなかったとしても近所の子供たちが悪いことをすれば、大人が叱るのが当たり前だった。

「今や『近所』という概念がなくなってしまっている。とくに都会では隣の家の住人と挨拶を交わさないばかりか、どんな人が住んでいるのかさえまったく知らない。もちろん、隣の家の子供は赤の他人です。つまり、地域社会が機能していないのです。核家族化が進み、共働きも増え、親たちも職場や家など、限られた繋がりしか持たない。その繋がりから出ると没交渉で、誰もが自分の空間の中だけで生きている時代なのです」(親野さん)

 親のあり方も子のあり方も大きく変容した現代において、親子関係は二極化している。現代の学生の生活に詳しい「働き方」評論家の常見陽平さんが分析する。

「最近の大学生を見ていて感じるのは、日常のできごとを密に報告し、歴代彼氏・彼女をすべて紹介するようなオープンな親子と、お互いのことに無関心な親子に分かれている。親密に連絡を取り合う親子がいる一方で、子供が何をしているかをまったく知らない親もかなり多いと感じます」

 “二極化”の裏を返せば、子供が自分のことを話してくれなければ、親は子供のことを何も知ることができないということ。

◆増加するネット経由の犯罪

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