芸能

『情熱大陸』ナレーターが語る収録の流れと印象深い回

『情熱大陸』のナレーターが印象に残る回とは

 2018年で20周年を迎える『情熱大陸』(MBS制作・TBS系列放送)。番組に欠かせないのがナレーションだ。その声を聞くだけで、番組を彷彿とさせる「番組の声」はそのまま「番組の顔」でもある──。『情熱大陸』のナレーションを担当する窪田等さんに話を聞いた。

──「日本から南へ3000km、パラオ。ここにある思いを胸に旅へ出た、ひとりの女優がいる──」。オンエア用のVTRを見ながらナレーション台本を声に出してチェックするのは、ナレーターの窪田等さん。この日、収録が行われたのは11月26日に放送された菜々緒の回。窪田さん特有の耳に心地いいソフトな声で読み上げながら、台本の言葉をクルッと丸で囲んだり、書き込みをしたりとせわしなくペンを動かす。

 これは自分だけの印ですね。「ある思いを胸に」の「胸に」をナレーションで強調しようと思ったら、丸で囲んで「ムネ」とルビをふるなどして、台本でも強調します。「旅へ出た ひとりの~」とひと呼吸置きたいなと思って印をつけたり、アクセントや難しい言葉の意味を調べて書き込むこともある。本番前のテスト後には、場面ごとに秒数も入れます。細かく書くので、あっという間に台本は真っ黒(笑い)。変更もあるので使うのは必ずシャーペンです。

──ナレーション収録の流れは?

 ナレーションの収録が行われるのは通常、放送前日の土曜日。「えっ、そんなにギリギリなの!?」と、よく驚かれます(笑い)。金曜日に映像が出来上がって、土曜日の夕方以降に都内のスタジオで収録します。

 最近は、ナレーションが必要な場面だけをポンポンとピックアップして効率よく短時間で収録する方法が主流ですが、『情熱大陸』では被写体のインタビューも含めて放送回全体を見てから収録に入る。時間はかかりますが、流れを把握することでナレーターもナレーションの間合いや台本が理解できる。これを自分で咀嚼する、しないでは全然違います。

 VTRを見て、「この表現はわかりづらいな」「ここは主語がある方がいいんじゃない?」など、感じたことをスタッフにぶつけます。密着したスタッフではなく、初めて見る視聴者目線だからわかることがあると思っています。台本が声に乗ってから感じることもある。何度も意見を交わしながら細かい語尾まで台本を練り直して、ようやく本番へ進む。作業は深夜に及ぶこともよくありますよ。収録が終わると、完成した映像を早朝の新幹線でスタッフが大阪の毎日放送へ届けます。

──特に印象深い回は?

 被災地からの生放送で始まった2012年の『石巻日日新聞』の回。ぼくにとって初めての生放送でもあり、緊張しましたね。

関連記事

トピックス

「新証言」から浮かび上がったのは、山下容疑者の”壮絶な殺意”だった
【壮絶な目撃証言】「ナイフでトドメを…」「血だらけの女の子の隣でタバコを吸った」山下市郎容疑者が見せた”執拗な殺意“《浜松市・ガールズバー店員刺殺》
NEWSポストセブン
連続強盗の指示役とみられる今村磨人(左)、藤田聖也(右)両容疑者。移送前、フィリピン・マニラ首都圏のビクタン収容所[フィリピン法務省提供](AFP=時事)
【体にホチキスを刺し、金のありかを吐かせる…】ルフィ事件・小島智信被告の裁判で明かされた「カネを持ち逃げした構成員」への恐怖の拷問
NEWSポストセブン
グラドルデビューした渡部ほのさん
【瀬戸環奈と同じサイズ】新人グラドル・渡部ほのが明かすデビュー秘話「承認欲求が強すぎて皆に見られたい」「超英才教育を受けるも音大3か月で中退」
NEWSポストセブン
2人は互いの楽曲や演技に刺激をもらっている
羽生結弦、Mrs. GREEN APPLE大森元貴との深い共鳴 絶対王者に刺さった“孤独に寄り添う歌詞” 互いに楽曲や演技で刺激を受け合う関係に
女性セブン
無名の新人候補ながら、東京選挙区で当選を果たしたさや氏(写真撮影:小川裕夫)
参政党、躍進の原動力は「日本人ファースト」だけじゃなかった 都知事選の石丸旋風と”無名”から当選果たしたさや氏の共通点
NEWSポストセブン
セ界を独走する藤川阪神だが…
《セの貯金は独占状態》藤川阪神「セ独走」でも“日本一”はまだ楽観できない 江本孟紀氏、藤田平氏、広澤克実氏の大物OBが指摘する不安要素
週刊ポスト
「情報商材ビジネス」のNGフレーズとは…(elutas/イメージマート)
《「歌舞伎町弁護士」は“訴えれば勝てる可能性が高い”と思った》 「情報商材ビジネス」のNGフレーズは「絶対成功する」「3日で誰でもできる」
NEWSポストセブン
入団テストを経て巨人と支配下選手契約を結んだ乙坂智
元DeNA・乙坂智“マルチお持ち帰り”報道から4年…巨人入りまでの厳しい“武者修行”、「収入は命に直結する」と目の前の1試合を命がけで戦ったベネズエラ時代
週刊ポスト
組織改革を進める六代目山口組で最高幹部が急逝した(司忍組長。時事通信フォト)
【六代目山口組最高幹部が急逝】司忍組長がサングラスを外し厳しい表情で…暴排条例下で開かれた「厳戒態勢葬儀の全容」
NEWSポストセブン
ゆっくりとベビーカーを押す小室さん(2025年5月)
小室眞子さん“暴露や私生活の切り売りをビジネスにしない”質素な生活に米メディアが注目 親の威光に頼らず自分の道を進む姿が称賛される
女性セブン
手を繋いでレッドカーペットを歩いた大谷と真美子さん(時事通信)
《「ダサい」と言われた過去も》大谷翔平がレッドカーペットでイジられた“ファッションセンスの向上”「真美子さんが君をアップグレードしてくれたんだね」
NEWSポストセブン
パリの歴史ある森で衝撃的な光景に遭遇した__
《パリ「ブローニュの森」の非合法売買春の実態》「この森には危険がたくさんある」南米出身のエレナ(仮名)が明かす安すぎる値段「オーラルは20ユーロ(約3400円)」
NEWSポストセブン