国内

事前に親に体罰の許可をもらう「合理的スパルタ塾」の高実績

体罰OK。高実績を上げる「合理的スパルタ塾」(イラスト/アフロ)

「パチーン」。教室内に大きな破裂音が響き渡る。愛知県名古屋市にある学習塾『集賢舎(しゅうけんしゃ)』。古びた雑居ビルの2階にある教室の四方には、教材の入った段ボールが所狭しと置かれている。

 チャイムの音を合図にして、机の上に教科書を広げる8人の生徒たち。岡田永吉塾長の授業が始まると教室が活気に包まれた。

 この日の授業は数学だ。岡田塾長は、ときに笑いを交えながら和やかに授業を進める。しかしテストの時間に、ひとりの男子生徒が判読不能な雑な字で書いた答案を出すやいなや、教室の雰囲気が一変した。岡田塾長がこの生徒を起立させ、「厳重注意、入試本番だったら無条件にバツだ、歯を食いしばれ」と言いながら、右の手のひらで生徒の左頬を叩いたのだ。

 同塾は、親にあらかじめ「体罰NG」「シッペまでならOK」「ビンタまでOK」から1つを選んでもらい、それに沿った指導をする「合理的スパルタ塾」だった。岡田塾長が指摘する。

「本人、親、第三者の誰が見ても悪いことについて体罰を含めた指導を行うのが『合理的スパルタ教育』。たとえば宿題を忘れる、人に迷惑をかける、友達をいじめる、授業を妨害する。こうしたことはすべて体罰の対象になります。本人も自分が悪いとわかっているから『体罰されて当然』と思っているし、保護者からの苦情もありません。むしろ『ここまでやってくださってありがたい』と感激されるかたもいらっしゃる」

 集賢舎には現在、小学5年生から高校3年生まで約100人の塾生が在籍する。2017年夏に実施された愛知全県模擬試験では各学年で平均を大きく上回り、特に中学3年生は国語、英語、数学が全県下第1位。またその3教科全て満点で、全県下1位の生徒を出すなどの好成績を収めている。中3の娘をこの塾に通わせている母親は「体罰肯定派」だ。

「ホームページを見て、体罰を含む指導と知ったうえで娘を入塾させました。私自身、学生時代に体罰のある厳しい塾に通っていろいろ学んだので、“愛のムチ”は時に必要と考えています。女の子なのでシッペまでにしましたが、男の子だったらビンタを選んでいたでしょうね」

 この母親が振り返るように、かつての日本では子供に手を上げる岡田塾長のような先生は、決して珍しい存在ではなかった。

「この道40年になりますが、開塾当時、体罰は社会的にも当たり前だったし、うちももっと激しかった。たとえば『アメリカの五大湖周辺の重大産業は?』という質問の答えを次回までに覚えてこなかったら、即ビンタでした。保護者から『先生、もっと叩いてくださいよ』と言われることもありました」(岡田塾長)

 しかし、時代は様変わりしている。

※女性セブン2018年1月4・11日号

関連キーワード

トピックス

各地でクマの被害が相次いでいる(左/時事通信フォト)
《空腹でもないのに、ただただ人を襲い続けた》“モンスターベア”は捕獲して山へ帰してもまた戻ってくる…止めどない「熊害」の恐怖「顔面の半分を潰され、片目がボロり」
NEWSポストセブン
カニエの元妻で実業家のキム・カーダシアン(EPA=時事)
《金ピカパンツで空港に到着》カニエ・ウエストの妻が「ファッションを超える」アパレルブランド設立、現地報道は「元妻の“攻めすぎ下着”に勝負を挑む可能性」を示唆
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さんの胸キュンワンシーンが話題に(共同通信社)
《真美子さんがウインク》大谷翔平が参加した優勝パレード、舞台裏でカメラマンが目撃していた「仲良し夫婦」のキュンキュンやりとり
NEWSポストセブン
兵庫県宝塚市で親族4人がボーガンで殺傷された事件の発生時、現場周辺は騒然とした(共同通信)
「子どもの頃は1人だった…」「嫌いなのは母」クロスボウ家族殺害の野津英滉被告(28)が心理検査で見せた“家族への執着”、被害者の弟に漏らした「悪かった」の言葉
NEWSポストセブン
理論派として評価されていた桑田真澄二軍監督
《巨人・桑田真澄二軍監督“追放”のなぜ》阿部監督ラストイヤーに“次期監督候補”が退団する「複雑なチーム内力学」 ポスト阿部候補は原辰徳氏、高橋由伸氏、松井秀喜氏の3人に絞られる
週刊ポスト
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
“最もクレイジーな乱倫パーティー”を予告した金髪美女インフルエンサー(26)が「卒業旅行中の18歳以上の青少年」を狙いオーストラリアに再上陸か
NEWSポストセブン
大谷翔平選手と妻・真美子さん
「娘さんの足が元気に動いていたの!」大谷翔平・真美子さんファミリーの姿をスタジアムで目撃したファンが「2人ともとても機嫌が良くて…」と明かす
NEWSポストセブン
メキシコの有名美女インフルエンサーが殺人などの罪で起訴された(Instagramより)
《麻薬カルテルの縄張り争いで婚約者を銃殺か》メキシコの有名美女インフルエンサーを米当局が第一級殺人などの罪で起訴、事件現場で「迷彩服を着て何発も発砲し…」
NEWSポストセブン
「手話のまち 東京国際ろう芸術祭」に出席された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年11月6日、撮影/JMPA)
「耳の先まで美しい」佳子さま、アースカラーのブラウンジャケットにブルーのワンピ 耳に光るのは「金継ぎ」のイヤリング
NEWSポストセブン
逮捕された鈴木沙月容疑者
「もうげんかい、ごめんね弱くて」生後3か月の娘を浴槽内でメッタ刺し…“車椅子インフルエンサー”(28)犯行自白2時間前のインスタ投稿「もうSNSは続けることはないかな」
NEWSポストセブン
滋賀県草津市で開催された全国障害者スポーツ大会を訪れた秋篠宮家の次女・佳子さま(共同通信社)
《“透け感ワンピース”は6万9300円》佳子さま着用のミントグリーンの1着に注目集まる 識者は「皇室にコーディネーターのような存在がいるかどうかは分かりません」と解説
NEWSポストセブン
真美子さんのバッグに付けられていたマスコットが話題に(左・中央/時事通信フォト、右・Instagramより)
《大谷翔平の隣で真美子さんが“推し活”か》バッグにぶら下がっていたのは「BTS・Vの大きなぬいぐるみ」か…夫は「3か月前にツーショット」
NEWSポストセブン