心不全が悪化すると人工心臓か心臓移植しか救命する手段がないとされている。そうなる前に、重症化を防ぐことが重要だ。
そこで開発されたのが「心臓サポートネット」。患者の心臓をメッシュ状の袋で覆うことで、心不全悪化の原因となる進行性の心拡大を抑える。研究代表者である名古屋大学大学院特任教授の秋田利明氏が言う。
「心不全は様々な原因により起こりますが、いずれにせよ進行性の心拡大を伴う。そのため、肥大の仕方に応じて、患者に合ったサイズのポリエステル製のネットをオーダーメイドで作成し、心臓に被せ、心機能低下を予防します。
世界最高レベルの心臓シミュレーション技術を持つ企業と提携し、ネット設計の技術は日々向上しています。今年は名古屋大のほか、大阪大、東北大で治験を行なう予定です。
心不全が進むと心臓移植をせざるを得ないのですが、2016年は全国で51例しかできていない。毎年140人ほど待機患者が増えているのが現状です。
その多くが、ドナーが見つからず1年以内に亡くなる。一刻も早く実用化して心不全に苦しむ多くの患者を救いたい」(秋田教授)
※週刊ポスト2018年1月12・19日号