それもそのはずで、この20ページにわたる章を執筆したのは社内の人物ではなく、日経新聞出身のジャーナリスト・土屋直也氏である。なぜここまで徹底的に向き合ったのか。社史をまとめた元広報部長の西山隆一郎・取締役上席執行役員が語る。
「そもそも西武グループは100年以上の歴史を持つのに正式な社史がなかったため、広報部で『新生・西武となって10周年を逃すとこの先つくる機会を逸する』という危機感が高まりました。そして2014年に上場したのを機に、社長の後藤(高志)に提案したところ、『上場もしたし、いい機会じゃないか』と賛成してくれた。
特にこの10年間の負の歴史は弊社にとって大きな転換点であり、それをきちんと刻み込むためには客観的な視点が必要と考え、土屋さんに執筆をお願いしました。グループ各社の広報担当者に資料集めに奔走してもらい、当時を知る社員に包み隠さず話してもらった。それらの絶大な協力なしではとてもできなかったと思います。
二度とこのようなことが起こらぬよう決して風化させてはならないし、後世に教訓としてつないでいくことで、次の100年の歴史をつくっていくスタート台になったと思います」
※週刊ポスト2018年1月12・19日号