国際情報

ネズミに噛まれた客を邪険に扱った中国のホテルが大打撃

クレームには誠実な対応が必要(写真:アフロ)

 昨今、クレームとその対応について問題になることが多い。が、やはり商売の基本は顧客を大事にすること、邪険に扱えばそれなりの報いを受けるが常だ。中国の情勢に詳しい拓殖大学海外事情研究所教授の富坂聰氏がレポートする。

 * * *
 久しぶりに「中国らしいニュース」といえば、変化の著しい中国に失礼かもしれないが、そんな印象が拭えない。安徽省合肥にある小洒落たブティックホテルでの出来事である。

 70代の老夫婦が問題のホテルに宿泊中、何とネズミに噛まれてしまうという事件が起きた。びっくりした夫婦は、すぐにホテル側にクレームを入れ、対応を求めた。当然のことだろう。

 ところが、クレームを受けたホテル側は何と老夫婦に対し、医療費の支払いすらしなかったというのだ。その理由は、そのまま事件を伝えた『安徽商報』(2017年11月28日付)の記事のタイトルになっている。曰く、

〈70代の老夫婦、ネズミに噛まれて文句を言うも、そのネズミを捕まえないと証拠にならないと店側に言われる)

 気の毒なのは老夫婦である。

 夜中の一時、まずおじいさんの方がネズミに噛まれる。ネズミに噛まれるといっても足先とか、そういった場所ではなく、何とも大胆に鼻の頭を噛まれている。そして、その約4時間後。今度はお祖母さんが噛まれるのだが、これもなぜか鼻の頭だったというのだ。

 翌早朝、両親からの報告を受けて息子と娘がホテルに到着。急いで両親を病院に連れて行った。問題が起きたのはチェックアウトの時である。料金を支払うにしても納得のいかない老夫婦は、「治療費と、狂犬病のワクチン代だけでもホテルが払うべき」と主張。ホテル側の問題発言が飛び出したのはこのときである。

 もちろんホテル側のこんな態度が許さるはずもなく、最終的には当該区の市場監督管理部門が動き、ホテルに対する調査が行われた。小さな賠償をケチったがために、ホテルはメディアでも大きく報じられて大きなダメージを受けたはずだ。記事は、こうした場合のホテル側の責任を弁護士に尋ねているが、それによるとこのケースでは「中華人民共和国侵権責任法」というものが適用されるということだ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
《まさかの“続投”表明》田久保眞紀市長の実母が語った娘の“正義感”「中国人のペンションに単身乗り込んでいって…」
NEWSポストセブン
大谷が購入したハワイの別荘の広告が消えた(共同通信)
【スクープ】大谷翔平「25億円ハワイ別荘」HPから本人が消えた! 今年夏完成予定の工期は大幅な遅れ…今年1月には「真美子さん写真流出騒動」も
NEWSポストセブン
フランクリン・D・ルーズベルト元大統領(写真中央)
【佐藤優氏×片山杜秀氏・知の巨人対談「昭和100年史」】戦後の日米関係を形作った「占領軍による統治」と「安保闘争」を振り返る
NEWSポストセブン
運転席に座る広末涼子容疑者
《追突事故から4ヶ月》広末涼子(45)撮影中だった「復帰主演映画」の共演者が困惑「降板か代役か、今も結論が出ていない…」
NEWSポストセブン
江夏豊氏(右)と工藤公康氏のサウスポー師弟対談(撮影/藤岡雅樹)
《サウスポー師弟対談》江夏豊氏×工藤公康氏「坊やと初めて会ったのはいつやった?」「『坊や』と呼ぶのは江夏さんだけですよ」…現役時代のキャンプでは工藤氏が“起床係”を担当
週刊ポスト
殺害された二コーリさん(Facebookより)
《湖の底から15歳少女の遺体発見》両腕両脚が切断、背中には麻薬・武装組織の頭文字“PCC”が刻まれ…身柄を確保された“意外な犯人”【ブラジル・サンパウロ州】
NEWSポストセブン
山本由伸の自宅で強盗未遂事件があったと報じられた(左は共同、右はbackgrid/アフロ)
「31億円豪邸の窓ガラスが破壊され…」山本由伸の自宅で強盗未遂事件、昨年11月には付近で「彼女とツーショット報道」も
NEWSポストセブン
佳子さまも被害にあった「ディープフェイク」問題(時事通信フォト)
《佳子さまも標的にされる“ディープフェイク動画”》各国では対策が強化されるなか、日本国内では直接取り締まる法律がない現状 宮内庁に問う「どう対応するのか」
週刊ポスト
『あんぱん』の「朝田三姉妹」を起用するCMが激増
今田美桜、河合優実、原菜乃華『あんぱん』朝田三姉妹が席巻中 CM界の優等生として活躍する朝ドラヒロインたち
女性セブン
別府港が津波に見舞われる中、尾畠さんは待機中だ
「要請あれば、すぐ行く」別府湾で清掃活動を続ける“スーパーボランティア”尾畠春夫さん(85)に直撃 《日本列島に津波警報が発令》
NEWSポストセブン
モンゴルを公式訪問された天皇皇后両陛下(2025年7月16日、撮影/横田紋子)
《モンゴルご訪問で魅了》皇后雅子さま、「民族衣装風のジャケット」や「”桜色”のセットアップ」など装いに見る“細やかなお気遣い”
大谷家の別荘が問題に直面している(写真/AFLO)
大谷翔平も購入したハワイ豪華リゾートビジネスが問題に直面 14区画中8区画が売れ残り、建設予定地はまるで荒野のような状態 トランプ大統領の影響も
女性セブン