新築マンションが値上がりしたのは、東京の都心や城南エリア、京都市内ばかりではない。今や東京都江東区の深川エリアでも坪単価500万円の物件が現れた。まったく洒落にならない水準だ。常識的に考えて、深川エリアで坪単価500万円なんて売れるはずがない。まあ、買う人間が現れればそれまでなのだが。
多分、富裕層の一人や二人はそれに乗せられて買ってしまうかもしれない。しかし、市場としての流れにはならない。つまりは、そういう不自然な価格形成は成立しない。
現に、城南エリアの完成在庫はどこも値引きや値下げをしている。市場価格を形成する健全な動きだ。この流れは2018年どころか2019年まで続き、やがてはバブル崩壊へとつながるはずだ。
一方、中古マンション市場はどうなっているのか?
2014年以来の局地バブルで、中古マンション市場も高騰を続けてきた。少なくとも、現に売り出されている物件の価格はかなり値上がりしている。しかし、実際の取引はあまり活発とは言えない。ありていに言えば、高値で売り出された物件が高値で買われているかというと、やや疑問。たしかに、数少ないがそういう動きもある。ただし、主流とは言えない。
市場を見ていると、高値で売り出した売り手と、少しでも安く買いたい買い手がにらみ合って両すくみの状態だと言える。どちらも急いでいないのだ。売り手は「この価格で売れればラッキー」くらいに思っている。買い手は「そんな値段じゃ買えない」と値下がりを待っている。ともに困っていない。
統計上、東京でも空き家は全住宅の約11%。富裕層で住むところに困っている人などいない。富裕層でなくても、普通に収入があれば住む家を見つけるには困らない。公団や公社の賃貸住宅ではフリーレント付きで入居者を募集している物件さえある。
住宅市場をマクロで見ると、余剰感はかなりのものだ。にもかかわらず、都心や城南エリア、湾岸では新築や中古のマンションが高値で取引されている。私に言わせれば、それは幻想に惑わされているだけだ。そういうバブルなマンションは、家賃の30年分以上の価格になっている。あり得ない水準だ。