芸能

鹿賀丈史 稽古場以上に舞台の上が勉強になった

鹿賀丈史が若き頃を語る

 映画史・時代劇研究家の春日太一氏がつづった週刊ポスト連載『役者は言葉でできている』。今回は、俳優・鹿賀丈史が、研究生2年目でいきなり主役デビューした当時について話した言葉を紹介する。

 * * *
 鹿賀丈史は1972年、劇団四季に入団したことで、役者としての道を歩み始める。

「小学校の時に合唱団に入ったことで音楽との触れ合いが始まりまして、高校でもコーラス部に入り、個人的にも声学の勉強もしていました。歌をずっとやっていたんです。

 東京で音楽大学を目指して浪人していた時、バイト仲間が芝居好きで『今度、劇団四季を受ける。お前も歌が歌えるんだから一緒に受けないか』と言われて、受けたんです。その時の僕は劇団四季の名前も知りませんでした。それでも、僕だけ受かって彼は落ちました。

 当時の四季はスケールが大きくなくて、参宮橋に小さな稽古場がありました。そこで研究生として、朝の掃除から始まって、バレエのレッスン、歌のレッスン──そんな生活でした」

 翌1973年、劇団を主宰する浅利慶太演出の歌劇『ジーザス・クライスト=スーパースター』でいきなり主役の「ジーザス」役に抜擢された。

「オーディションを受けたら、なぜか通りまして。研究生としてまだ二年目なのに主役に抜擢されたんです。その時はまだ舞台のことは何も知らなくて、あれよあれよという感じでした。本当に出会いに恵まれています。

 これはミュージシャンも手こずるような高度な作品でした。でも最初、中野サンプラザで幕が開いた時はお客さんガラガラで。それが千秋楽の頃には立ち見が出るようになっていました。日本のミュージカルにとって、これは大きな出来事だったと今になると思っています。

 浅利さんの演出は、もちろんご自分で演じてみることもありますが、それ以上に役者としての存在のあり方、心構え、生き方、そういったことを厳しく言われましたね」

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