肉は米国産アンガス牛を中心に50g単位で量り売り


「あさくまとしては以前からステーキ店のブランドを郊外だけでなくもっと都心部に広めていきたいという戦略は練っていたと思います。ところが、量り売りの提供システムに関しては、いきなり!ステーキが特許を取っていたために手を出せなかった。それが、昨年11月に個人の異議申し立てによって特許が取り消しになったという事情も絡んでいるようです」(前出・中村氏)

 やっぱりあさくまは、今年中に関東の都心部を中心に20店舗、3年後には100店舗を掲げ、いきなり!ステーキを猛追する構えだが、果たして二匹目のどじょうは狙えるのか。

「あさくまは1948年創業の老舗ステーキ店で、最盛期には店舗数120店、売上高179億円を誇っていました。それが競争激化やBSE問題などを受けて長らく業績低迷が続いた末、2011年に厨房機器販売のテンポスバスターズに子会社化されました。

 テンポスの経営陣は、あさくま創業者が築いてきたノウハウを受け継ぐ社員や店舗従業員らと共に必死で再建に挑んできました。いま、その情熱を持って都心部に攻め込もうとしているわけです。店舗数がそれなりに増えてくれば、いきなり!ステーキの強敵に躍り出るパワーは秘めています」(中村氏)

 都心店はステーキの量り売りのほか、あさくま路面店で好評な「学生ハンバーグ」や、新メニューの「学生ステーキ」なども揃え、肉好きな若者を数多く集客したい構えだ。

 市場調査会社、冨士経済の調査によれば、西洋料理のカテゴリーに属するステーキ・ハンバーグレストランの市場規模は1167億円(2018年予測)ある。

 あさくまはこれまで「びっくりドンキー」や「ブロンコビリー」、「ステーキガスト」などのファミリーレストランカテゴリーに含まれていたが、新業態の成否いかんでは客層の流れが大きく変わる可能性もある。日本の肉食文化の変遷を含め、今後のステーキ戦争から目が離せない。

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