「1枚の写真を撮るのも1分でサッとやってしまうし、部屋がぐちゃぐちゃなこともある。だけど、そんなふうに素の自分をさらけ出した投稿に共感してもらえると、私自身も『このままでいいんだ』と救われます。だから、これからも絵日記のように日常を綴ってゆきたいと思っています」(木下)

◆インスタグラムで「だんご」が大ヒット

 フォロワー数が多ければ多いほど、企業はインスタに注目する。現在はインスタで収入を得る「プロインスタグラマー」も珍しくない。女性ファッション誌『CanCam』の塩谷薫編集長はこう話す。

「たとえば、カメラのメーカーとタイアップして旅をして、そのメーカーのカメラで撮った写真をインスタにアップするケースなどもあります。今やフォロワー数が多く影響力のあるインスタグラマーは、企業のマーケティングに欠かせない存在。雑誌の読者モデルも、昔は人気が出るとネイルサロンなどを起業しましたが、今はプロインスタグラマーになる人も少なくありません」(塩谷編集長)

 そんなプロインスタグラマーの小竹麻美さんが言う。

「今の若い女性はカフェや旅行へ行く時も洋服を選ぶ時も、インスタを見て決める人が多い。インスタが素敵だったら、口コミでお客さんが集まるので、どんな企業も“映える”写真をアップすることに注力しています。カメラや旅行会社とのタイアップはもちろん、企業のかたと一緒に“どんなインスタが映えるのか”を考えるのもプロインスタグラマーの仕事です」

 インスタが町おこしになるケースもある。愛知県犬山市にある国宝・犬山城の城下町で販売されている「恋小町だんご」は1枚の写真がきっかけで売り上げを大きくのばした。販売している「茶処くらや」の尾辻大志店主が言う。

「もともと鉄板焼き屋で焼きそば、お好み焼き、牛串などを出していましたが、客足が遠のく午後の時間帯に何かできないかと考案したのが『恋小町だんご』です。城下町といえばお団子なので、アレンジしてひとつひとつ違う味を楽しめるようにしました」

 販売開始直後、1日の売り上げは10本ほどだったが、ある女子高生が「きれい! かわいい!」という言葉とともに写真をアップすると瞬く間に拡散して、「いいね!」が1万2000件にはね上がり、女子高生が店舗に殺到した。

「カウンターで常連のおじさんがお酒を飲んでいる後ろに女子高生が並ぶ不思議な光景になりました(笑い)。多い日には1日1000本売れるようになり、鉄板焼きを休んでお団子一本にしました。ありがたいことではありますが、SNSのスピード感には少し怖さも感じます」(尾辻さん)

※女性セブン2018年2月1日号

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