国内

精神疾患患者の父 寝屋川監禁事件に「気持ちはよくわかる」

愛里さんが15年にわたり監禁されていた自宅

 平屋の木造家屋の周囲には、高さ2mのベニヤ合板が張り巡らされ、玄関ドア、軒先、外壁の上と至る所に監視カメラが設置されている。郵便受けは内部から閉じられており、開くことがない。大阪・寝屋川市の住宅街に建つ一戸建ては、異様な外観で周囲から浮いていた。

「この家に娘さんがいたなんて、まったく知らなかった。ピンポンしても誰も出てこないし、郵便受けがこの状態だから、回覧板も回せない。中年夫婦が住んでいるのは知っていたけど、近所づきあいは皆無でね。まさか家の中でこんな悲劇が起きていたなんて…。近くに住んでいながら何もできなかった自分が悔しいです」

 塀下の献花台に手を合わせる近隣住人は、そう言って悔やんだ。昨年12月23日、この家で1人の女性が遺体で発見された。柿元愛里さん(享年33)。発見時の体重は19kg。自宅敷地内のプレハブ小屋で、衣類も身につけず眠るように死んでいたという。

「司法解剖の結果、死因は凍死。極限の栄養失調状態で、極寒の環境に置かれていたとされています」(全国紙記者)

 同居する両親が「娘が死んだ」と寝屋川署に自首したことで発覚したこの事件は、その後、衝撃の事実が続々と明らかになっている。

 愛里さんが過ごしたプレハブ小屋は、簡易トイレと給水タンクを備えただけのわずか2畳半の空間で、二重扉で仕切られ、中からは開けられない仕組みになっていた。

「室内にもカメラが設置され、愛里さんの様子を常時監視してDVDに映像を残していました。彼女の行動範囲はこの2畳半の空間のみで、食事は1日に1食。風呂にもほとんど入れてなかった。驚くべきはその期間で、愛里さんは15年前からずっと同じ生活を強いられていたことがわかっています」(前出・全国紙記者)

 監禁と保護責任者遺棄致死罪で逮捕された父親の泰孝容疑者(55才)、母親の由加里容疑者(53才)はともに容疑を否認し、「すべては娘のためだった」と供述しているという。捜査関係者が語る。

「閉じ込めた理由について、愛里さんが15才頃に発症した精神疾患が原因だと供述しています。暴れ回って家族に危害を加えることもあり、自傷行為も頻発していたそうです。すでに小6の頃から病の兆候があり、複数の病院で『統合失調症』と診断されたと話しています。監禁も“療養目的だった”と。

 父親はガラス工場に勤める工員で、プレハブ小屋の増築から二重ドア、監視カメラの設置まですべて自分でやったと供述している。ちなみに愛里さんは2人姉妹の長女で、次女はすでに独立し、家から出ていた。まだ不可解な点も多く、今は彼らが撮影していた監視カメラを詳しく分析検証している最中です」

◆誰にも相談できず、対応策も分からず…

 現代版“座敷牢”とでも呼ぶべき地獄の環境で亡くなった愛里さん。「人でなし」「極刑に値する」と、世論は両親へのバッシングであふれているが、違う視点で見ている人間もいる。

関連キーワード

関連記事

トピックス

“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
《ママとパパはあなたを支える…》前田健太投手、別々で暮らす元女子アナ妻は夫の地元で地上120メートルの絶景バックに「ラグジュアリーな誕生日会の夜」
NEWSポストセブン
グリーンの縞柄のワンピースをお召しになった紀子さま(7月3日撮影、時事通信フォト)
《佳子さまと同じブランドでは?》紀子さま、万博で着用された“縞柄ワンピ”に専門家は「ウエストの部分が…」別物だと指摘【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
一般家庭の洗濯物を勝手に撮影しSNSにアップする事例が散見されている(画像はイメージです)
干してある下着を勝手に撮影するSNSアカウントに批判殺到…弁護士は「プライバシー権侵害となる可能性」と指摘
NEWSポストセブン
亡くなった米ポルノ女優カイリー・ペイジさん(インスタグラムより)
《米ネトフリ出演女優に薬物死報道》部屋にはフェンタニル、麻薬の器具、複数男性との行為写真…相次ぐ悲報に批判高まる〈地球上で最悪の物質〉〈毎日200人超の米国人が命を落とす〉
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
「プラトニックな関係ならいいよ」和久井被告(52)が告白したキャバクラ経営被害女性からの“返答” 月収20〜30万円、実家暮らしの被告人が「結婚を疑わなかった理由」【新宿タワマン殺人・公判】
NEWSポストセブン
松竹芸能所属時のよゐこ宣材写真(事務所HPより)
《「よゐこ」の現在》濱口優は独立後『ノンストップ!』レギュラー終了でYouTubeにシフト…事務所残留の有野晋哉は地上波で新番組スタート
NEWSポストセブン
山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
早朝のJR埼京線で事件は起きた(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」に切実訴え》早朝のJR埼京線で「痴漢なんてやっていません」一貫して否認する依頼者…警察官が冷たく言い放った一言
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン