国内

娘に「早く出て行ってほしい」と語ったシングルマザーの真意

娘を遠ざけた母が隠していたこと(写真/アフロ)

「苦痛を共にした家庭は、安息の快楽を共にすることができる」とは、歌人・伊藤佐千夫の言葉。近くにいるからこそ、その大切さに気づきにくいのが家族の愛。苦労を共にしたその果てに見えた心温まる21才・学生の女性によるエピソードをどうぞ。

 * * *
 私の家族は母と姉。母子家庭です。貧しいながらも仲よくやっていたのですが、私が高校1年になると、母はことあるごとに私たち姉妹に、「早く自立して、出て行ってほしいわ」と言うようになりました。家事も分担制になり、母の帰りも遅くなっていきました。

 いつもイライラし、私たちを遠ざけようとするので、

「彼氏ができたから、私たちが邪魔になったんじゃない」

 姉とそう愚痴を言い合っては不信感を募らせ、母を無視するようになりました。

 そんなある日、学校から帰ると珍しく母がいて、机に突っ伏していました。寝ているのかと思ったのですが目が開いています。様子がおかしいと母の腕に触れて驚きました。異常に細かったのです。急いで救急車を呼びました。

 母は2年前からALS(筋萎縮性側索硬化症)という病気を患っていたことがわかりました。ALSは徐々に筋肉がやせ、立つことも、食べることも、呼吸さえできなくなる病気です。母は診断を受けた時、いつ自分が死んでも私と姉が生きていけるよう、自立させることを考えたそうです。そして、体が動くうちにお金を貯めようと仕事を増やしたのです。

 すでに就職している姉が、母の退院祝いに家族3人で温泉旅行に行こうと提案してくれました。この旅行で母は以前のやさしい母に戻りました。私も知らなかったとはいえ、母に冷たく当たったことを後悔しました。

 退院後、車椅子生活になった母は、これからしゃべることもできなくなるそうです。母は私たちに家を出ろと言っていましたが、私たちは家に残り、少しでも母といられる時間を大切にしようと思っています。

※女性セブン2018年2月22日号

関連キーワード

トピックス

大谷翔平と真美子さんの胸キュンワンシーンが話題に(共同通信社)
《真美子さんがウインク》大谷翔平が参加した優勝パレード、舞台裏でカメラマンが目撃していた「仲良し夫婦」のキュンキュンやりとり
NEWSポストセブン
兵庫県宝塚市で親族4人がボーガンで殺傷された事件の発生時、現場周辺は騒然とした(共同通信)
「子どもの頃は1人だった…」「嫌いなのは母」クロスボウ家族殺害の野津英滉被告(28)が心理検査で見せた“家族への執着”、被害者の弟に漏らした「悪かった」の言葉
NEWSポストセブン
理論派として評価されていた桑田真澄二軍監督
《巨人・桑田真澄二軍監督“追放”のなぜ》阿部監督ラストイヤーに“次期監督候補”が退団する「複雑なチーム内力学」 ポスト阿部候補は原辰徳氏、高橋由伸氏、松井秀喜氏の3人に絞られる
週刊ポスト
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
“最もクレイジーな乱倫パーティー”を予告した金髪美女インフルエンサー(26)が「卒業旅行中の18歳以上の青少年」を狙いオーストラリアに再上陸か
NEWSポストセブン
大谷翔平選手と妻・真美子さん
「娘さんの足が元気に動いていたの!」大谷翔平・真美子さんファミリーの姿をスタジアムで目撃したファンが「2人ともとても機嫌が良くて…」と明かす
NEWSポストセブン
メキシコの有名美女インフルエンサーが殺人などの罪で起訴された(Instagramより)
《麻薬カルテルの縄張り争いで婚約者を銃殺か》メキシコの有名美女インフルエンサーを米当局が第一級殺人などの罪で起訴、事件現場で「迷彩服を着て何発も発砲し…」
NEWSポストセブン
「手話のまち 東京国際ろう芸術祭」に出席された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年11月6日、撮影/JMPA)
「耳の先まで美しい」佳子さま、アースカラーのブラウンジャケットにブルーのワンピ 耳に光るのは「金継ぎ」のイヤリング
NEWSポストセブン
逮捕された鈴木沙月容疑者
「もうげんかい、ごめんね弱くて」生後3か月の娘を浴槽内でメッタ刺し…“車椅子インフルエンサー”(28)犯行自白2時間前のインスタ投稿「もうSNSは続けることはないかな」
NEWSポストセブン
芸能活動を再開することがわかった新井浩文(時事通信フォト)
《出所後の“激痩せ姿”を目撃》芸能活動再開の俳優・新井浩文、仮出所後に明かした“復帰への覚悟”「ウチも性格上、ぱぁーっと言いたいタイプなんですけど」
NEWSポストセブン
”ネグレクト疑い”で逮捕された若い夫婦の裏になにが──
《2児ママと“首タトゥーの男”が育児放棄疑い》「こんなにタトゥーなんてなかった」キャバ嬢時代の元同僚が明かす北島エリカ容疑者の“意外な人物像”「男の影響なのかな…」
NEWSポストセブン
滋賀県草津市で開催された全国障害者スポーツ大会を訪れた秋篠宮家の次女・佳子さま(共同通信社)
《“透け感ワンピース”は6万9300円》佳子さま着用のミントグリーンの1着に注目集まる 識者は「皇室にコーディネーターのような存在がいるかどうかは分かりません」と解説
NEWSポストセブン
真美子さんのバッグに付けられていたマスコットが話題に(左・中央/時事通信フォト、右・Instagramより)
《大谷翔平の隣で真美子さんが“推し活”か》バッグにぶら下がっていたのは「BTS・Vの大きなぬいぐるみ」か…夫は「3か月前にツーショット」
NEWSポストセブン