中学受験といえば、公立の小学校で学んだ教科書の知識だけではとても突破できないような難問が多いことでも知られるが、ここ数年、思考力や表現力を問うユニークな設問も増えている。安田教育研究所代表の安田理氏が、この2月に出題されたばかりの入試問題をいち早く入手。その中から特徴的な記述問題を紹介する。
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これまで、中学受験生の多数派は進学塾に小3の3学期から通って国語・算数・理科・社会の4科目を勉強してきた。だが、リーマンショック以降、進学塾に入塾する時期が遅くなったり、そもそも通わなかったりという受験層が増えてきている。
また、以前だったら受験生活に入った段階で、お稽古事、スポーツクラブを辞めていたものが、小6でも続けさせるという家庭が増えている。こうした進学塾に通っていない、通っていても以前と比べるとソフトな受験生活になっている受験生が多くなった。
そこに、大学入試改革の影響もあり、「学力観」が変わってきた。従来日本では、学力というと、学んで身についたものという学力観が一般的だったが、欧米ではコンピテンシー(行動特性、リテラシー)を学力とみなしている。
大学入試改革の論議を通じて旧来型の知識・技能中心の学力ではこれからのグローバル社会に対応できなくなるという危機感が広がってきて、学力観そのものがグローバルスタンダードなものに変化しつつあることが、中学入試問題の変化にもつながっている。
では実際にどのような問題が出題されたのか。3つほど問題例を挙げてみよう。
最初は大妻中野中学校(東京・女子校)の「新思考力入試」総合IIの問題である。「新思考力入試」はこのほか、総合I(理科・社会の合科型問題)、総合III(算数の力を見る問題)がある。総合IIはこれ1問で、50分で記述する。