ニュージーランド政府は外国人による同国内の不動産物件購入を禁止する法律を発令した。同国のジャシンダ・アンダーン首相は昨年10月、外国人投資家による不動産購入が活発化しているあおりを受けて、住宅価格が高騰し、国民の多くが住宅を購入できないという深刻な事態が進展していることから、外国人の不動産購入を禁止すると公言していた。
首相は外国人について、特定の国名には触れていないものの、政府関係者は米政府系報道機関「VOA(ボイスオブアメリカ)」の取材に、「中国人による不動産の爆買いが主な原因」との見方を示している。西側諸国が外国人の不動産購入禁止を法令化するのは極めて異例。それだけ、中国人の爆買いの脅威が高まっているといえそうだ
ニュージーランドでは昨年の不動産物件の平均価格は前年比5.5%上昇。とくに、首都ウェリントンでは同18%増と急騰している。「これを受けて、多くの国民がマイホームの購入を断念せざるを得ない状態だ」とVOAは報じている。
具体的には、25年前には国民全体の75%が不動産を所有していたが、いまでは64%と、9ポイント減少している。
このため、デイビッド・パーカー貿易相は「新たな法令の目的は不動産価格高騰を抑えるためではなく、国民が本来持つべき権益を保護するためだ」と述べて、外国人の投資目的の不動産購入を阻止する目的があることを明らかにした。
これらの外国人の中でも、政府首脳が念頭に置いているのは、中国人とみられる。VOAは「大型物件のうち、7割近くが通常価格の15%から20%増しの法外な値段をつけた中国人の富裕層によって買い占められている」と報じている。